2017 Fiscal Year Annual Research Report
末梢性・中枢性セロトニンの糖脂質代謝調節作用とその有用性の解明
Project/Area Number |
16J08117
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡邉 一史 金沢大学, 新学術創成研究機構, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
|
Keywords | タンパク質 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、タンパク質摂取による糖脂質代謝調節作用の解析およびそのメカニズムとして末梢および中枢セロトニンの役割の解明を目的とする。前年度には、緑豆タンパク質が肝臓での脂肪合成を抑制し、肝臓における脂肪の蓄積量を低下させることを見出した。本年度は、緑豆タンパク質の肝臓脂肪蓄積抑制作用のメカニズムについて検討を行った。 タンパク質は経口摂取後、消化酵素によりアミノ酸やジペプチドあるいはトリペプチドに分解され吸収される。腸管より吸収されたこれらのアミノ酸やペプチドは、門脈を経て直接肝臓に働く場合と腸管上皮細胞からセロトニンなどの消化管ホルモンや神経を介した間接的な作用が想定される。そこで本年度は、分解されたアミノ酸による直接的な作用を検討した。高脂肪食飼料中のタンパク質を緑豆タンパク質と同じ組成で配合したアミノ酸置換飼料を作製し、マウスに給餌して肝臓脂肪蓄積を解析した。緑豆タンパク質含有高脂肪食飼料は、カゼインタンパク質含有高脂肪食飼料と比し、肝臓中脂肪量を低下させたが、緑豆タンパク質をアミノ酸で置換した飼料は、肝臓中脂肪量を低下させなかった。また、緑豆タンパク質含有高脂肪食飼料は、肝臓脂肪合成酵素の遺伝子発現を抑制したが、アミノ酸で置換した飼料では緑豆タンパク質の効果は得られなかった。これらのことから、緑豆タンパク質の作用はアミノ酸まで分解されると効果は発揮されず、少なくともジペプチドもしくはトリペプチドの形が必要であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
緑豆タンパク質の肝臓脂肪蓄積抑制作用のメカニズムについて検討を行い、緑豆タンパク質のアミノ酸組成がこの作用において重要であるという可能性を否定することができた。このことは、緑豆タンパク質のアミノ酸組成ではなく、緑豆タンパク質から分解過程で生成するペプチドの重要性を示唆しており、本研究の進行に重要な知見である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに緑豆タンパク質の肝臓脂肪蓄積抑制作用メカニズムの検討を進め、特に緑豆タンパク質の直接作用を想定した緑豆タンパク質から生成されるジペプチドおよびトリペプチドを用いた解析と中枢および末梢セロトニンの作用を介した間接作用について解析を行う予定である。
|