2016 Fiscal Year Annual Research Report
森林土壌圏における微生物動態に立脚した多様な有機物の分解呼吸プロセスの解明
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16J08135
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
安宅 未央子 国立研究開発法人森林総合研究所, 関西支所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 分解呼吸 / 微生物バイオマス / 連続測定 / 季節変化 / ヒステリシス / 従属栄養呼吸 / 暖温帯林 / 水分動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
分解呼吸は、時々刻々と変化する環境要因(気温や降水量)に応じて変化する。また、分解呼吸のポテンシャルは、分解に伴う分解基質の変化(特に質)の影響を受ける。これら分解呼吸の応答特性は、その主体である微生物の動態に起因するものである。そこで、京都府南部に位置する山城試験地(暖温帯林)において、微生物の動態に基づいた分解呼吸速度の季節変化を評価するため、優占するコナラの落葉層を対象に野外での分解呼吸速度と環境要因の連続観測に加え微生物バイオマスの測定を行った。微生物バイオマスの測定に関しては、赤外線ガスアナライザーを用いた測定装置を構築することによって、短時間での多サンプルの観測を可能にした。 その結果、落葉の分解呼吸速度は温度に応じた季節変化したのに加え、降雨による落葉層の湿潤―乾燥サイクルに応じた短期的な変動を示した。分解呼吸速度をもとに算出された月別の落葉分解量は、温度が高く降水量の多い7月に大きく、温度の低い冬期に小さかった。一方、重量あたりの分解呼吸速度は、同じ温度帯域にもかかわらず春に高く、秋に低いといった季節的なヒステリシスを示した。さらに、SIR法によって測定された微生物バイオマス指標もまた同様の挙動を示したことから、分解呼吸速度は環境要因だけでなく微生物バイオマスの影響を受けていることがわかった。本研究成果は、分解呼吸を主体とする微生物動態と環境・基質変動との関係性を明らかにすることを可能にする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、相対的に質の変化の大きな落葉に着目し、分解呼吸-微生物動態の季節変化に関するデータを取得することができた。現在、より難分解性である土壌の層別での分解呼吸の連続測定をおこなっており、多様な有機物と分解呼吸-微生物動態との関係性を明らかにすることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
落葉に加え土壌の層別での分解呼吸の連続測定と微生物バイオマス測定を実施し、多様な有機物と分解呼吸-微生物動態との関係性を明らかにする。
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Research Products
(4 results)