2018 Fiscal Year Annual Research Report
新規の光感受性タンパク質を利用した神経回路形成メカニズムの解明
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16J08137
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
周 至文 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | アストロサイト / cAMP / 海馬 / てんかん / 記憶 / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者が作製に携わり、有用性を検証したアストロサイト特異的に光活性化アデニル酸シクラーゼ(PAC)を発現する遺伝子改変マウスを利用し、海馬に局所的な青色光刺激を与え、海馬のアストロサイトのcAMP濃度を上昇させた場合、海馬の機能へ与える影響を調べた。本研究は、海馬が司る空間記憶およびてんかん発作感受性について検証した。 空間記憶形成時海馬アストロサイトのcAMP濃度を一時的に上昇させた場合、記憶がより長く保持され、記憶形成が促進されるという結果が得られた。一方、記憶形成した一日後に海馬アストロサイトのcAMPを上昇させた場合、記憶成績が低下し、記憶保持が阻害されるということが示唆された。そのメカニズムを検証した結果、アストロサイトのcAMP上昇によって神経細胞のNMDA受容体が活性化され、神経細胞およびシナプス可塑性が誘導されることが示唆された。この結果はアストロサイトのcAMPシグナルがタイミングによって双方向に記憶に影響することを初めて示した。そして、アストロサイトのcAMPシグナルがNMDA受容体を活性化し、神経活動およびシナプス可塑性を誘導するという新たな経路を同定した。 また、てんかん発作感受性について調べたところ、海馬アストロサイトのcAMP濃度上昇が薬物によって誘導された急性てんかん発作の程度を軽減したことを発見した。本研究はグリア細胞を急性的に操作することでてんかん発作を抑制する初めて研究となる。この発見はグリア細胞に着目することでてんかん発作の対処法または難治性てんかんの治療に進歩をもたらす可能性を秘めている。 本研究は、海馬アストロサイトのcAMPシグナルに着目し、光遺伝学的な制御によって海馬の複数の機能に影響与えることを発見した。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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