2016 Fiscal Year Annual Research Report
細菌を活用した細胞性粘菌の移動時における中心体配置の役割の解明
Project/Area Number |
16J08310
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
近藤 興 山口大学, 創成科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
|
Keywords | 中心体 / 細胞運動 / 磁性細菌 / オルガネラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞内でのオルガネラの位置を磁気によって自在に操作する技術を新たに開発し、移動する細胞で観察される中心体配置の極性の生理的意義について解明することを目的とする。研究開始のH28年度は、(i)オルガネラの磁気操作方法の開発に使う磁性細菌の培養環境の整備と(ii)その遺伝子組換え実験、(iii)細胞性粘菌の中心体可視化株作成用の遺伝子作成を実施した。以下はその要点である。 (i) 二種の磁性細菌について、液体培養および平板培養を行った。その結果、既報の通りの菌形態、走磁性、増殖速度を示す環境を整備することができた。 (ii) 磁性細菌に任意の外来遺伝子を発現させることを目的として、1)プラスミドの構築、2)形質転換条件の検討を行った。1)については、磁性細菌と大腸菌との間でのシャトルベクターと、そのベクターに様々な外来遺伝子を挿入したプラスミドを構築した。2)については、1)で作製したプラスミドを導入できる条件を見つけ、さらに一部のプラスミドではその遺伝子発現にも成功した。一方、導入したプラスミドの塩基配列の一部が欠損することがあることが判明した。 (iii) 中心体に局在するgamma-tubulin遺伝子を粘菌cDNAからPCRによって増幅した。その遺伝子と新規に作製した細胞性粘菌にコドンを最適化した単量体GFP遺伝子をグリシンセリンリンカーでつなぎ合わせた。さらに、細胞性粘菌に外来遺伝子を発現させるための汎用ベクターも合わせて作製した。このベクターに前述のGFP融合gamma-tubulin遺伝子の挿入し、細胞性粘菌に形質導入した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁性細菌内で安定的に維持されるベクターを見い出し、電気穿孔法によって遺伝子導入する方法を確立した。この点は計画通りであるが、導入したプラスミドによっては配列が一部欠損することがわかり、用意した遺伝子すべては発現させることができていない。この点を克服する必要がある。 細胞性粘菌の中心体の可視化については、計画通り進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
磁性細菌内での導入プラスミドの組み換えを抑制するために、関係遺伝子のノックアウト株の分与または作製することによって対策する。また、組み換え箇所の特定とその改変によって対応することも検討している。その点を克服できれば、あとは計画通り実施できると考えている。
|