2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J08552
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥川 亮 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | トポロジカル半金属 / ワイル半金属 / トポロジカル絶縁体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、トポロジカルな半金属であるワイル半金属およびノーダルライン半金属に関する相転移現象を研究した。以下にその二つをまとめる。 (1)スピン軌道相互作用のある系における絶縁体相と空間反転対称性の破れたワイル半金属相の間の相転移の一般論を展開した。特に、空間反転対称性の破れた場合には結晶対称性にかかわらず、通常の絶縁体相とトポロジカル絶縁体相の相転移は起こらないことを有効模型から導くことに成功した。また、結晶の対称性と相転移後のワイル点の軌跡の関係を系統的に明らかにした。 (2)スピン軌道相互作用のない系でのトポロジカル半金属としてワイル半金属とノーダルライン半金属の間のトポロジカル相転移の研究を行った。ノーダルライン半金属は時間反転対称性と空間反転対称性のどちらも有する必要があり、そこに対称性を破る摂動を導入することでワイル半金属がどのように出現するかを解析的に調べた。本研究では、ノーダルライン半金属のフェルミ面の構造に着目し、ノーダルライン半金属がワイル半金属および絶縁体になるかを分類することができた。さらに、結晶の対称性にも注目することで(1)の研究をノーダルライン半金属に発展させ、対称性がノーダルライン半金属のバンド構造に与える影響を明らかにした。その結果、結晶の対称性と組み合わせることで異なるトポロジカルな相転移が可能であることを示した。本研究成果は、論文として執筆中であり国際学会で報告も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々のトポロジカル半金属は表面状態に特徴があり、それらはバルクエッジ対応によってバルクの状態と密接に関係している。したがって、ワイル半金属やノーダルライン半金属の一般的なバルクのバンド構造を明らかにできたことは今後の表面状態の解析において有用であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
トポロジカル物質の特徴であるバルクエッジ対応を利用して、バルクの状態から表面バンド構造をトポロジカルな側面から明らかにする。また、当初の目的である輸送現象にその表面状態の効果が現れる新奇な現象を探索する。
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