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2016 Fiscal Year Annual Research Report

含窒素L字形多環芳香族化合物ジベンゾピロロナフチリジンを利用した機能性材料の開発

Research Project

Project/Area Number 16J08668
Research InstitutionTokyo University of Science

Principal Investigator

舘野 航太郎  東京理科大学, 総合化学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2016-04-22 – 2018-03-31
Keywords螺旋構造 / πーπ相互作用 / 光学特性
Outline of Annual Research Achievements

人工合成した螺旋構造形成体は、その動的挙動、光学特性など分野横断的に注目を集めており、特に優れた蛍光性ユニットを用いることで、円偏光発光などの点において、高い応用性を実現できると期待されている。しかし一方で、デザイン性の問題から用いられる芳香族ユニットは、非常に単純な骨格に限られている。本研究では、化学修飾容易な蛍光発光性L字形化合物ジベンゾピロロナフチリジンを用いることで螺旋構造の形成が可能な分子クランプを目指した。
この分子クランプにおいて最も特徴的な点は、剛直でかつ大きく折れ曲がっている骨格を用いることで、螺旋構造形成に伴うエントロピーロスを抑えていることである。すなわち、剛直な折れ曲がり構造を用いることで、螺旋一周に必要なユニット数を削減し、先端のナフチリジン部位でのπ-π相互作用のみにより螺旋形成が可能であると考えた。
合成したフェナントレンスペーサー型分子クランプ及びフェナントロリンスペーサー型分子クランプは、螺旋形成による芳香環同士の重なりに由来する各1H-NMRでのシグナルの高磁場シフトなどから溶液中で螺旋構造に大きく偏っていることが分かった。また、X線構造解析に成功しており、結晶状態でも螺旋構造形成していることを明らかにした。さらに、スペーサー部位に可動部が1つ多く、螺旋構造形成に伴うエントロピーロスがさらに大きいと考えられる3,3’-ビフェニルスペーサー型分子クランプでも、溶液中で螺旋構造形成に大きく偏る結果を得ており、π-π相互作用による熱力学的安定化が非常に大きいことが示唆された。本螺旋状分子クランプは、蛍光特性に優れたジベンゾピロロナフチリジンを主ユニットとしていることから、キラル分割が可能な系に誘導することで、円偏光発光などキロプロティカル特性への展開が期待できる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

H28年度の研究計画においては、各種ジベンゾピロロナフチリジン二量体の合成及びその物性調査を主たる目的とした。上記の研究実績の概要に記載している通り、その経過は概ね順調であると言える。特に、螺旋の内部空孔にカチオンゲストの取り込み可能なフェナントロリンスペーサー型分子クランプが螺旋構造形成可能であるという結果は、今年度のターゲット化合物である「L字骨格二量体に基づくポリロタキサン様化合物フォルダキサン」の開発を目指す上で極めて重要な知見であり、最終年度の研究進展に大きく寄与する結果が得られたと考えている。
また一方で、もう一つの研究課題「酸化剤を用いたジカチオン生成」については、反応の進行は確認済みであり、X線構造解析およびNMR解析による構造決定を目指している。
加えて、H28年度の研究過程で、ジベンゾピロロナフチリジンのキノリン部位を選択的に化学修飾することに成功した。以下今後の研究の推進方策にて述べるが、この新たな知見は、研究課題、特に螺旋状分子クランプの開発に対し、さらなる展望を与えるものである。

Strategy for Future Research Activity

H28年度の研究で、3,3’-ビフェニルスペーサー型もしくはフェナントロリンスペーサー型分子クランプが、自発的に螺旋構造形成することが分かっており、その安定性は螺旋ピッチ間での芳香環の重なりが大きいことに由来することが明らかとなった。これらの分子クランプは、蛍光特性に優れたジベンゾピロロナフチリジンを主ユニットとした螺旋構造形成体であるため、優れた円偏光発光が期待できるが、一方でこの分子クランプは螺旋反転が速く、その光学的分割が困難である。そこでH29年度は、①螺旋構造のさらなる安定化及び②反転不能な螺旋構造形成、③螺旋ピッチ間での結合形成による螺旋構造の固定化、④キラルスペーサーの導入に着手する。
具体的には複数の分子クランプが隣接した構造とすることで協同的な螺旋反転のみ起こる系、もしくは、軸分子と会合させたフォルダキサンとすることで、螺旋反転できない系の実現を目指す。また、進捗状況で示したように、螺旋先端のキノリン部位に対する化学修飾を利用し、分子内オレフィンメタセシス反応によって螺旋ピッチ間での結合形成を行い、光学分割後、各光学活性体について物性調査を行う。加えて、キラルスペーサーとしてビナフチル型スペーサーを導入し、螺旋方向の偏りを目指すとともに、キラルゲスト認識に伴う螺旋方向制御を目指す。さらに、分子クランプ及びビインドール型二量体について電子的酸化還元によるスイッチング能についても調査を行う。

  • Research Products

    (4 results)

All 2017 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Facile Two-Step Synthesis of 1,10-Phenanthroline-Derived Polyaza[7]helicenes with High Fluorescence and CPL Efficiency2017

    • Author(s)
      Takashi Otani, Ami Tsuyuki, Taiki Iwachi, Satoshi Someya, Kotaro Tateno, Hidetoshi Kawai, Takao Saito, Kyalo Stephen Kanyiva, Takanori Shibata
    • Journal Title

      Angewande Chemie International Edition

      Volume: 56 Pages: 3906-3910

    • DOI

      10.1002/anie.201700507

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Construction of Helical Structure based on L-shaped Dibenzopyrrolo[1,2-a][1,8]naphthyridines2017

    • Author(s)
      舘野航太郎、大谷卓、小野公輔、齊藤隆夫、河合英敏
    • Organizer
      日本化学会第97春季年会2017
    • Place of Presentation
      慶応大学(神奈川県横浜市)
    • Year and Date
      2017-03-16 – 2017-03-19
  • [Presentation] L字形多環芳香族化合物ジベンゾピロロナフチリジンを利用した螺旋構造の構築とその挙動調査2016

    • Author(s)
      舘野航太郎、大谷卓、小野公輔、齊藤隆夫、河合英敏
    • Organizer
      第7回サブウェイセミナー
    • Place of Presentation
      立教大学(東京都豊島区)
    • Year and Date
      2016-08-22 – 2016-08-22
  • [Presentation] Construction of Molecular Clamps based on L-shaped Compounds2016

    • Author(s)
      舘野航太郎
    • Organizer
      第48回構造有機化学若手の会 夏の学校
    • Place of Presentation
      白浜荘(滋賀県高島市)
    • Year and Date
      2016-08-04 – 2016-08-06

URL: 

Published: 2018-01-16  

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