2017 Fiscal Year Annual Research Report
ボルネオ島におけるビントロングの半着生イチジクの種子散布者としての有効性の評価
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16J08680
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中林 雅 琉球大学, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 半着生イチジク / ビントロング / オナガサイチョウ / テナガザル / 種子散布 / 指向性散布 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度はビントロング及び比較対象となるオナガサイチョウ、テナガザルに散布された種子の発芽率や種子散布環境の比較など、質的有効性の解明を中心に研究を行った。 発芽率の実験では、半着生イチジクで採食したビントロングとオナガサイチョウの糞から採取した種子を用いた。テナガザルについては、体内滞留時間が長く(24時間以上)、どの結実木由来の種子か断定できなかったため、先行研究(McConkey 2000)のデータを参考にした。同じ結実木で採食した個体の糞を発見することができなかったため、各種の発芽率を統計学的に比較することはできないが、ビントロングとの比較対象動物2種を含むすべての種で、腸管を通過した種子の発芽率は、イチジク由来の種子よりも発芽率が高い傾向にあることが明らかになった。各果実食性動物の種子散布環境の比較では、ビントロング、テナガザル、サイチョウを追跡し、種子散布(排泄場所)の微小環境を記録した。その結果、ビントロングとオナガサイチョウのみが半着生イチジク種子の潜在的な発芽環境に種子を散布することが分かった。特にビントロングは、そうした環境に指向性散布を行っていることが明らかになった。 これらの結果と量的有効性を合わせて総合的な半着生イチジクの種子散布者としての有効性を評価すると、ビントロングは今回調査した3種の果実食動物の中では、著しく有効性が高いことが分かった。しかし、半着生イチジクの種子の発芽に適さない環境に種子散布をした場合は、他の2種と同様の値を示す。これらの結果をまとめ、第65回日本生態学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は、主に半着生イチジクの種子散布動物の質的有効性の評価を行った。量的有効性のデータについては、イチジクの結実状況や天候などに左右されるため十分なデータは集まっていないが、これまでの結果をまとめることは可能である。計画通り、野外調査により必要なデータを集めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、これまでに得たデータをまとめ国際誌での公表を行う。また、適宜シンポジウムや国内・国際学会で発表する予定である。学会だけでなく、野外調査を行っているマレーシア・サバ州でも一般向けの講演などを行い、成果の普及を図る。
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Research Products
(1 results)