2016 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌ペプチド天然物ライソシンを基盤とした構造機能相関研究
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16J08733
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加治 拓哉 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 有機化学 / 合成化学 / 構造活性相関 / コンビナトリアルケミストリー / 抗生物質 / ペプチド / 固相合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、天然物を凌駕する高活性類縁体の創出を目指し、One-Bead-One-Compound戦略をライソシンEに適用することで、評価対象となる類縁体の数を飛躍的に増大し、より網羅的な構造活性相関研究を実施した。すなわち、これまでに構造活性相関研究を実施していない4個のアミノ酸残基を、側鎖置換基の物性に基づき7種類のアミノ酸に置換するsplit-pool合成を行い、樹脂に結合した2,401種類のライソシンE類縁体からなるライブラリを作成した。樹脂上の類縁体のメナキノン親和性を評価する方法として、樹脂に吸着されたメナキノンを溶出し、ヒドロキノンに還元して蛍光定量する方法を新たに確立した。さらにビーズから切り出したペプチドに対し、液相での機能評価を行うことで真に活性を示す類縁体を効率的にスクリーニングできると考え、1粒のビーズに由来する類縁体の抗菌活性試験が実施可能であることを実証した。またMS/MSフラグメント解析による極微量の類縁体を用いた配列決定条件を確立した。約7,500粒の樹脂を用いて構築したライブラリに対して、上記の通り確立したメナキノンとの結合親和性評価、次いで抗菌活性試験を実施した結果、31個のビーズがヒットした。得られたヒット化合物について、MS/MSフラグメント解析を行い、これらの配列を決定した。今後は得られた配列情報を基に新規類縁体のスケールアップ合成を行い、機能評価を実施することで天然物を凌駕する類縁体の創出の実現が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、One-Bead-One-Compound戦略に基づくライブラリの構築と評価を効率的に実施するため、樹脂上に結合したライソシン類縁体と標的分子メナキノンとの結合親和性の評価系を新たに確立した。また、これまで構造活性相関研究が未実施であった4か所のアミノ酸残基を側鎖置換基の物性に基づく7種類のアミノ酸に置換したライブラリを設計し、split-pool法による合成を実施した。さらに、約7,500粒の樹脂を用いて構築したライブラリについて、上記の通り確立したメナキノンとの結合親和性評価、次いで抗菌活性試験を実施し、31個のヒット化合物を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングにより見出したメナキノン吸着活性と抗菌活性を兼ね備えた類縁体について、固相合成により量的供給する。続いて合成した類縁体の抗菌スペクトル測定、脂質膜破壊活性の濃度依存性評価などを実施する。これにより、天然物を凌駕する高活性類縁体創出の達成を目指す。
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