2016 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドミメティクスを基盤とした創薬テンプレートの実践的合成法の開発と創薬応用
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16J08904
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小早川 拓也 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | ペプチドミメティクス / クロロアルケン型ジペプチドイソスター / 創薬テンプレート / ペプチド合成 / 有機銅試薬 / ジアステレオ選択的アリル位アルキル化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
容易に調製可能な(2E)-γ,γ-dichloro-α,β-enoateに対して低次有機銅試薬を用いた場合では、C5位不斉中心に起因する1,4-遠隔不斉誘起によるジアステレオ選択的なアリル位アルキル化反応が進行し、(L,D)型の立体配座に相当するクロロアルケン型ジペプチドイソスター(CADI) (Bus-L-Xaa-ψ[(Z)-CCl=CH]-D-Yaa-OEt)が高収率、高立体選択的に得られた。また、グリーンケミストリーの観点から、本反応に使用する銅塩量の検討を行ったところ、30 mol%まで減量化しても収率・選択性を損なうことなく進行することを見出した。 さらに、本反応の1,4-遠隔不斉誘起の知見をもとに、基質を幾何異性体となるE型((2E)-γ,γ-dichloro-α,β-enoate)からZ型((2Z)-γ,γ-dichloro-α,β-enoate)へ換えることで、ジアステレオマーの(L,L)型CADI(Bus-L-Xaa-ψ[(Z)-CCl=CH]-L-Yaa-OEt)を高収率・高立体選択的に合成でき、E型の基質と同様の収率、立体選択性、基質一般性を示すことも明らかにした。本反応は銅塩を140 mol%まで減らしても高収率、高立体選択的に進行することも見出した。 合成したCADIはペプチド合成へ適用可能なBoc保護- またはFmoc保護-カルボン酸(Boc-L-Xaa-ψ[(Z)-CCl=CH]-L-Yaa-OH,Fmoc-L-Xaa-ψ[(Z)-CCl=CH]-L-Yaa-OH)のジペプチドイソスターへ短工程かつ高収率にて誘導でき、現在までにFmoc-固相合成法を活用した実践的なペプチド合成への応用も可能であることを明らかととしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
下記の3点が区分理由である。 ・創薬テンプレートとなりうる多様なクロロアルケン型ジペプチドイソスター(CADI)を効率的に供給可能な合成戦略の構築に成功している。また、クロロアルケン骨格を構築する上で重要な鍵反応となるジアステレオ選択的アリル位アルキル化反応は触媒量または等量の銅塩まで減ずることが可能であり、アトムエコノミーの改善も行うことができた。 ・これまでに報告されている合成法では直接的にBoc保護- またはFmoc保護-カルボン酸体へ誘導の困難であった。しかし、当年度に見出した合成法を活用することによって、共通中間体から直接的に2つのタイプの誘導体合成が可能となる方法論の確立にも成功した。 ・得られたCADI含有のFmoc保護-カルボン酸体はFmoc-固相合成法への適用も可能であることも確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した方法論を活用することで多様なクロロアルケン型ジペプチドイソスター(CADI)を合成することが可能であり、得られた誘導体はFmoc-固相合成法を活用したペプチド合成への適用も可能である。今後の推進方策として、種々の生理活性ペプチドへの導入検討を試みる。 また、CADI含有ペプチドと親ペプチドとの生理活性評価をし、CADIの一般性や優位性の検証を行うことで、ペプチド創薬への貢献を目指す。
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Research Products
(7 results)