2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J09108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芹川 昂寛 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 量子光学 / 量子エレクトロニクス / 光導波路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は光導波路素子を用いた光学系で連続量量子光学による量子情報処理を実現し,光回路スケール拡大への技術的道筋を探索するものである.私と共同研究者らは前年度までに石英光導波路干渉計を用いて連続量量子テレポーテーションに必要なビームスプリッタネットワークのワンチップ集積化を行い,実際にコヒーレント状態の量子テレポーテーションの実験を行っている.そこでは,特に光波長を量子測定に都合の良い860nm帯に移したことに起因して,1.補助状態の外部入力部分における光損失の問題,2.導波路素子上における光損失の問題,3.導波路素子上における偏波回転による不安定性,が原因となり,精度が制約されていることが判明した.本年度はこれらの解決へ向けて,それぞれ次のような対策をとることとした.1.テーパ形状導波路によって導波モード形状を変換し,外部ファイバとの結合効率を向上する.2.導波路の曲率変化部分における散乱損失を低減させるために,導波路の形状をクロソイド曲線とし,連続的な曲率変化で接続を行う.3.導波路幅を増大させ,製造上の不完全性の影響を小さくする.以上を踏まえた上で,新たな量子テレポーテーション・チップのレイアウト設計を行った.この際,設計プログラムを新規に記述し,回路要素の柔軟な配置,導波路接続の整合性チェックなど,大規模・複雑な光回路の製作に必要な設計補助システムを構築した.これらによって,1.860nm波長帯におけるビームスプリッタネットワークの基盤が整い,その実証へ向けた試作の準備が整った.2.更に複雑な回路素子を集積化するための設計手法を開発したといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は光を用いた量子情報処理において基本となるビームスプリッタネットワークに関して,実用レベルの精度を得るために技術的改善を図り,それを盛り込んだ試作チップの設計を行った.これによって強い量子性の閾値を超える精度の連続量量子テレポーテーションをオンチップで行うことへの目処が立ったものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に作成した連続量量子テレポーテーション・チップは既に製造過程に入っている.来年度は周辺装置開発を行い,それらを用いて連続量量子テレポーテーションの実験を行う予定である.また同時にオンチップでの光パワー制御,位相変調などの要素を集積化するための試作検証を行い,大規模な光回路の集積化に向けた技術開発を行う予定である.
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Research Products
(2 results)