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2016 Fiscal Year Annual Research Report

全シス置換シクロプロパンの一般的構築法の開発と天然物合成への発展

Research Project

Project/Area Number 16J09128
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

安井 基博  京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2016-04-22 – 2019-03-31
Keywords全合成 / 全シス置換 / 立体選択的 / 遷移金属 / シクロプロパン / イリジウム / 天然物 / ストリゴラクトン
Outline of Annual Research Achievements

「全シス置換シクロプロパン構築法」の開発に取り組んだ。申請者は昨年度、avenaolの全合成を志向して合成したアルキリデンシクロプロパンに対し水素雰囲気下でCrabtree型Ir触媒を作用させた際にジアステレオ選択性は低いものの、全シス置換シクロプロパンが得られることを見出した。そこで当該年度はまず、Ir触媒のカウンターアニオンを検討した。その結果、非配位性カウンターアニオンへと変更することで、大幅な選択性の向上が見られた。見出した最適条件で基質適応範囲を確認したところ、avenaolの全合成に応用可能である核間メチル基を有する基質でも良好なジアステレオ選択性を維持することができた。
Avenaolの全合成において鍵となる全シス置換シクロプロパンの構築に成功した申請者は、次の課題となるC8位の立体選択的構築に取り組んだ。まずはじめにアルデヒドα位の直接的増炭を試みたが収率・立体選択性ともに良好な結果は得られなかった。酸化して得られるエステルα位のアリル化において良好な収率で目的物を与えたものの、立体選択性はほとんど発現しなかった。そこで申請者は増炭してから1,3-ジオールへと変換した後に、一方のヒドロキシメチル基を区別する反応を考案することとした。種々検討した結果、1,3-ジオールをトシル酸で処理することで、PMBエーテルの開裂とともに一方のヒドロキシメチル基のみが閉環する分子内SN1反応を高収率で進行させることに成功した。これによりC8位の不斉点を構築することができた。C-H酸化によりメチン炭素を選択的に酸化した後に種々の官能基変換によりC環部を構築した。全シス置換シクロプロパンの立体的性質を活かして立体選択的に酸素官能基を導入、D環部を導入することにより、avenaolの全合成を達成した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度の計画は1)全シス置換シクロプロパン構築法の開発と2)avenaolの不斉全合成であった。以下に進捗を述べる。

1)最適条件の決定、全合成に適応可能な基質の決定まで達成され、計画通りに進行した。特に配向基を利用した基質においては完全な立体選択性で全シス体を得ることに成功した。

2)工程数などに課題は残るものの、ラセミ全合成と中間体までの不斉合成を達成した。

Strategy for Future Research Activity

現在のavenaolの全合成経路は35工程である。また、昨年度開発したIr触媒を用いた「全シス置換シクロプロパンの構築法」はビシクロ[4.1.0]ヘプタン骨格にのみ適応したものであり、avenaolを含む本骨格を有する化合物の合成には適しているものの、一般性を有しているとは言い難い。そこで本年度はC-H活性化/C-Hメタル化によるシクロプロパンの連続的シス官能基化を鍵とした、avenaolの短工程不斉全合成を行うこととした。
avenaolを含むすべてのストリゴラクトンはCD環部のエノールブテノライド構造が同一である。本構造を立体選択的に構築した例は1例のみで、再結晶後のエナンチオ過剰率が報告されているのみであるため、真に立体選択的な構築は未解決の課題である。そこで申請者は今年度、この課題をこれまでの研究計画から新たに加えることとした。様々な方策を予定しているが、金属カルベノイドへのO-H挿入反応や有機触媒を用いたキラルオキソカルベニウムイオンへの求核付加反応を計画している。
また、これまでに合成したavenaol類縁体は共同研究により構造活性相関を行う。

Remarks

(1)トップページ、学会発表のページ参照

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016 Other

All Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] 特異な置換様式の3員環を有するテルペノイド Avenaolの全合成2017

    • Author(s)
      ○安井基博、塚野千尋、太田里奈、竹本佳司
    • Organizer
      日本薬学会第137年会
    • Place of Presentation
      仙台
    • Year and Date
      2017-03-24 – 2017-03-27
  • [Presentation] 特異な置換様式の3員環を有するテルペノイド Avenaolの全合成研究2016

    • Author(s)
      ○安井基博、塚野千尋、太田里奈、竹本佳司
    • Organizer
      第46回複素環化学討論会
    • Place of Presentation
      金沢
    • Year and Date
      2016-09-26 – 2016-09-28
  • [Remarks] 京都大学大学院薬学研究科薬品分子化学分野

    • URL

      http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/orgchem/

URL: 

Published: 2018-01-16  

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