2016 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞由来のアディポカイン:CTRPが運動による動脈硬化改善に関わる機序の解明
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16J09131
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長谷川 夏輝 立命館大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | アディポカイン / 動脈硬化 / 脂肪 / 有酸素性運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
体内の過剰な脂肪蓄積(肥満)は心血管疾患リスクである動脈硬化度を増大させる大きな原因の1つである。一方、習慣的な有酸素性運動による体脂肪の低下に伴い動脈硬化度は低下することが認められている。運動による動脈硬化改善の機序の一つには脂肪組織から産生されるアディポカインが関与することが報告されている。最近、新規アディポカインとして複数のCTRPs(C1q/tumor necrosis factor-related proteins)が同定され、運動による動脈硬化改善の新たなメカニズムにCTRPsが関与する可能性が考えられるが、現在まで明らかでない。 そこで本研究では、習慣的な有酸素性運動による動脈硬化改善の機序として、動脈機能に影響する可能性のあるCTRPsが関与するのか否かについて検討することを目的とした。 本研究では、運動習慣のない健常な中高齢者52名を対象に8週間有酸素性トレーニング介入を行い、介入前後に動脈機能に影響する可能性のあるCTRPsであるadiponectin、CTRP3、CTRP5、CTRP9の血中濃度および動脈硬化度の測定を行った。血中CTRPs濃度はELISA法にて、動脈硬化指標として頸動脈‐大腿動脈間の脈波伝播速度(cfPWV)を測定した。8週間の有酸素性運動介入によりcfPWVは有意に低下改善し、血中adiponectin、CTRP3、CTRP5濃度は有意に増加した。一方で血中CTRP9濃度に変化は認められなかった。さらに有酸素性運動介入による動脈硬化改善度と血中adiponectin、CTRP3、CTRP5の変化量には有意な負の相関関係が認められた。 以上の結果から、運動による動脈硬化改善の機序には、血中adiponectin、CTRP3、CTRP5濃度の変化が関与する可能性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、習慣的な有酸素性運動による動脈硬化改善に対して新規アディポカインである複数のCTRPsが関与するか否かの検討を行うことが目的であったが、運動習慣のない健常な中高齢者52名を対象に8週間有酸素性トレーニング介入実験を行い、動脈硬化度は有意に低下改善する一方、血中adiponectin、CTRP3、CTRP5濃度は有意に増加するという結果が得られた。また、有酸素性運動介入による動脈硬化改善度と血中adiponectin、CTRP3、CTRP5の変化量には有意な負の相関関係が認められたことからも、計画どおりに研究が行われていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
習慣的な有酸素性運動による動脈硬化改善に対する新規アディポカインである複数のCTRPsとの関連性を検討するために、有酸素性トレーニング介入実験を実施し、有酸素性運動介入による動脈硬化改善度と血中adiponectin、CTRP3、CTRP5の変化量には有意な関連性が認められたことから、次年度は計画どおり、動物実験を用いて、運動によって分泌増大するCTRPsが、全身に局在するどこの脂肪組織から分泌しているのかを明らかにしていく。
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