2016 Fiscal Year Annual Research Report
多角的アプローチによるしびれ感知の分子-神経機構の解明
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16J09147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三宅 崇仁 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 疼痛 / TRPチャネル / 温度生物学 / 神経科学 / 抗がん剤誘発末梢神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は大腸がんに使用される白金系抗がん剤オキサリプラチン(L-OHP)によって惹起される、寒冷被爆により惹起・増悪する急性末梢神経障害に着目した検討を行った。Ca2+イメージング法やwestern blotting法にて検討した結果、L-OHPやその特徴的な代謝物シュウ酸の細胞膜透過型アナログを前処置すると、プロリン水酸化酵素(PHD)が阻害されること、および侵害受容器ヒトTRPA1(hTRPA1)のROS感受性が高まることが明らかとなった。また、PHD阻害薬dimethyloxaloylglycine(DMOG)を前処置すると、hTRPA1のROS感受性が増強することがわかった。さらに冷刺激に対するhTRPA1の応答を検討すると、無処置の場合では、hTRPA1は冷感受性応答を示さなかったが、DMOGを前処置すると、強い冷感受性応答を示し、その応答はミトコンドリア選択的ROS除去薬であるmitoTEMPOにより有意に抑制された。またマウスを用いた行動解析も行い、L-OHPやDMOGを投与したマウスは、冷刺激に対して過敏になり、これはTRPA1阻害薬やROS除去剤の投与によって抑制されることがわかった。以上の結果より、L-OHPや代謝物シュウ酸によるhTRPA1プロリン残基の水酸化阻害は、hTRPA1のROS感受性を高め、冷刺激によりミトコンドリアから誘発されるROSを感知できるようになり、間接的に冷感受性をもたらすことが明らかとなった。このようなメカニズムは、臨床的に観察されるL-OHP誘発性冷刺激過敏応答に密接に関与していると考えられる。この研究成果は、論文に掲載され(Nature Communications, IF: 11.32)、またプレスリリースも行った。また複数の国内学会や国際学会でも発表し、非常にインパクトの高い研究として受け入れられている。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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[Journal Article] Cold sensitivity of TRPA1 is unveiled by the prolyl hydroxylation blockade-induced sensitization to ROS2016
Author(s)
Takahito Miyake(申請者), Saki Nakamura, Meng Zhao, Kanako So, Keisuke Inoue, Tomohiro Numata, Nobuaki Takahashi, Hisashi Shirakawa, Yasuo Mori, Takayuki Nakagawa*, Shuji Kaneko
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Journal Title
Nature communications
Volume: 7
Pages: 12840
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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