2017 Fiscal Year Annual Research Report
次世代型ゲノム編集技術CRISPR/Cas9を用いた低分子量タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
16J09337
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
泰松 清人 山梨大学, 大学院総合研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | CRISPR/Cas9 / ゲノム編集 / ノックイン / ゼブラフィッシュ / 低分子量タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度では、低分子量タンパク質データベースを利用し、機能ドメインの有無や進化的な保存性を考慮して、50種類を候補遺伝子として選別した。胚発生期における発現を検出し、その結果から胚発生期において造血・心血管を含む組織において特異的に高い発現が認められる低分子量タンパク質13種類を解析候補遺伝子として選別した。 次年度では、これらの標的遺伝子座位に対し、蛍光タンパク質遺伝子のノックインに取り組んでいたが、うまくいかなかった。変異体の作製には成功したので、表現型の解析をすすめたが、顕著な表現型は検出されなかった。現在は発現解析情報を中心に論文を作成している。 パイロット実験として行っていた低分子量タンパク質遺伝子ependymin related1 (epdr1) のノックインについては、標的座位がeGFP遺伝子にノックインされた系統を樹立した。この系統はepdr1の発現がeGFP蛍光でモニタリングすることが可能であった。また、両アリルがノックインされた個体は脳神経形成の異常が観察された。すなわち、ゲノム編集技術によるノックインにより、標的遺伝子の発現可視化と、loss-of-functionの表現型の誘導が可能であることを示した。この研究成果はOta S *, Taimatsu K *, Yanagi K, Namiki T, Ohga R, Higashijima S, Kawahara A “Functional visualization and disruption of targeted genes using CRISPR/Cas9-mediated eGFP reporter integration in zebrafish” Scientific Reports, (2016 ) *These authors contributed equally として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では、低分子量タンパク質データベースを利用し、機能ドメインの有無や脊椎動物における進化的な保存度を考慮して、50種類を候補遺伝子として選別した。それらの遺伝子をクローニングし、whole mount in situ hybridization法によって胚発生期における発現を検出した。その結果から、胚発生期において造血・心血管を含む組織において特異的に高い発現が認められる低分子量タンパク質13種類を解析候補遺伝子として選別し、標的座位へのノックインのためのcrRNAを設計した。 次年度では、これらの標的遺伝子座位に対し、筆者らが開発したゲノム編集技術を応用した蛍光タンパク質遺伝子のノックインに取り組んだ。F0世代においてはノックインされた個体が多数得られたものの、F1世代においてノックインされた個体を得ることは出来なかった。変異体の作製には成功したので、変異体の表現型の解析をすすめたものの、顕著な表現型は検出されなかった。現在、これまでの発現解析情報を中心に論文を作成している。 また、パイロット実験として行っていた低分子量タンパク質遺伝子ependymin related1 (epdr1) のノックインについては、ゲノム編集技術により標的座位がeGFP遺伝子にノックインされた系統を樹立した。この系統は、epdr1の発現がeGFP蛍光でモニタリングすることが可能であった。さらに交配により、両アリルがノックインされた個体を得た。両アリルがノックインされた個体は中脳後脳境界におけるepdr1陽性の神経細胞の数が野生型と比較して減少していることが明らかとなった。すなわち、ゲノム編集技術によるノックインにより、標的遺伝子の発現可視化と、loss-of-functionの表現系の誘導が可能であることを示した。この研究成果は先述の通りScientific Reportsに発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在論文を執筆中である。一方で、ノックインされたF0個体から採卵して、ノックインされたF1個体が得られないかどうかを、これまでにF1を確認していない系統において確認中である。 その確認作業の過程で、ノックインはされていなかったものの、変異体の表現型として、造血に異常の見られる系統を単離した。この系統については、各種血球の染色実験や、各種血球が蛍光タンパク質で可視化できる系統を用いた観察、あるいは各種造血関連遺伝子のwhole-mount in situ hybridization法による検出などを通じて、その造血異常の詳細を明らかにしていきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)