2016 Fiscal Year Annual Research Report
癌の根治ヘ向けた超分子制癌剤による癌幹細胞のオートファジー様細胞死誘導法の開発
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16J09364
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
西田 慶 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | ポリロタキサン / オートファジー / オートファジー細胞死 / 非アポトーシス様細胞死 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画ではketal結合を有するPRX (ket-PRX)を基盤分子としていたが,生理的条件下 (pH 7.4)における安定性等の課題が生じた。そこで新たな酸分解性PRXとして,末端の封鎖分子にトリチル基を適用したPRXを検討した。各pHにおけるMe-PRXのトリチル基解離量をHPLC測定により評価した結果,pH 7.4では48時間後において脱離率は10.5%であったのに対し,pH 5.0では24時間でほぼ完全にトリチル基が脱離し,Me-β-CDを放出することを確認した。pH7.4における高い安定性と酸性環境での機敏な応答性を示したことから,トリチル基を有するMe-PRXを基盤分子として決定した。またin vitroにおけるオートファジー誘導の評価としてGFP-LC3を発現したHeLa細胞を樹立するとともに,Me-PRXの作用に対するGFP-LC3陽性小胞数を評価した。その結果Me-PRXは,GFP-LC3数を有意に増加させ,オートファジー阻害剤である3-MAとMe-PRXを同時に作用させた場合では,GFP-LC3陽性小胞数に変化は見られず,Me-PRXによるオートファジーの誘導が示唆された。さらにMe-PRXは,細胞生存率の低下を示したが,オートファジー阻害剤存在下において細胞生存率の低下は顕著に抑制された。またcaspase-3のタンパク質発現解析から,Me-PRXの誘導する細胞死は非アポトーシス様の細胞死であることが明らかとなった。このように,オートファジーの阻害により抑制される細胞死はオートファジー細胞死であることが予想される。さらにアポトーシス抵抗性細胞を樹立し,Me-PRXは正常細胞と同様にアポトーシス抵抗性細胞に対して殺細胞作用を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた基盤となるポリロタキサン骨格に変更が生じたため,研究計画で予定していた,in vivoでのBALB/cマウスにおける血中滞留性評価は次年度へ持ち越しを行った。しかしながら,研究遂行において優れた機能を示す酸分解性メチル化ポリロタキサンの合成に成功し,オートファジーならびに非アポトーシス様の細胞死であるオートファジー細胞死を誘導可能であることが明らかとなった。さらに本研究における最大の関心である癌幹細胞対する細胞死誘導の評価として,アポトーシス抵抗性細胞を樹立し細胞死誘導を評価した。Me-PRXはHeLa細胞をはじめとした癌細胞だけでなくアポトーシス抵抗性細胞に対しても一様な殺細胞作用を示したため,超分子制癌剤の機能を実証する第一歩となった。一方で,Me-PRXが誘導するオートファジーならびにオートファジー細胞死の作用機序に関する実験に着手しており,次年度の研究に円滑に繋がるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として,第一に癌幹細胞 (アポトーシス抵抗性細胞)に対する効果的な細胞死を誘導することを目的に作用機序の確立とともにMe-PRXの最適化を実施する予定である。特に,in vitroでの細胞内動態の解析やオートファジーならびにオートファジー細胞死の関連タンパク質のウエスタンブロットによる評価を実施する。また最適化として軸ポリマー分子量やβ-CD貫通数、メチル基の修飾数の異なるMe-PRXの合成を行い,その作用効果を適時評価していく予定である。最終的にはin vivoでの評価を実施できるよう,in vitroでの結果を考慮してモデルマウスの樹立,マウス体内動態や抗腫瘍活性の評価についての準備を実施する。またin vitroにおいて癌幹細胞に対する殺細胞作用を評価可能な系を調査,考案することで実験動物を使用する以外の方法も検討していく予定である。
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Research Products
(8 results)