2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J09377
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森田 雄介 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | ナルディライジン / 転写 / エピジェネティクス / ペプチダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒストンの翻訳後修飾(アセチル化、メチル化)は、修飾部位特異的に作用するタンパク質を介して遺伝子転写制御及び生体の恒常性維持に重要な役割を果たしている。ナルディライジン(Nrd1)はヒストンコードリーダーとして転写制御に関与しているが、ゲノムワイドな転写制御やエピジェネティクスにおける役割は明らかにされていない。 そこで、Nrd1の転写制御機構を解明するために、野生型の細胞を用いて抗Nrd1抗体を用いたクロマチン免疫沈降-高速大量シークエンス法(ChIP-seq)を行い、ゲノム上のNrd1結合領域を同定した。さらに野生型、Nrd1欠損細胞およびNrd1欠損細胞にNrd1を再導入した細胞を用いて、RNAシーケンス、修飾特異的ヒストン抗体(H3K9ac/H3K4me2)を用いたChIP-seqを行い、Nrd1が直接転写を制御すると考えられる遺伝子を同定した。同定した遺伝子群の遺伝子オントロジー解析によって、細胞増殖や細胞周期制御にかかわる遺伝子が有意に多く含まれていることが分かった。また遺伝子群の上流のNrd1結合領域ではメチル化の変化は乏しい一方、アセチル化が有意に上昇しており、Nrd1が特異的なヒストン修飾の変化に関与していることが示唆された。それらの結果を踏まえてNrd1と細胞機能とのかかわりの解析について着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りChIPシーケンスやRNAシークエンスを用いた実験は進んでおり、ゲノムワイドな解析についても重要な知見が得られた。質量分析法によるNrd1結合タンパク質の同定や、遺伝子改変マウス作製の準備も進めており、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
Nrd1のゲノムワイド解析の結果を、さらに生物学的な機能の面から解析をすすめ、その意義について論文にまとめる。
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