2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the molecular mechanism of transcytosis in M cells
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16J09413
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 伸英 慶應義塾大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 免疫学 / 粘膜免疫学 / 上皮細胞生物学 / M細胞 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
M細胞は小腸のパイエル板などのリンパ濾胞を覆う上皮に存在し、細菌などの抗原を取り込んで直下の免疫細胞へと受け渡すことで、管腔内の免疫監視に重要な役割を果たしている。しかしながら、M細胞の分化や抗原取り込みにおける分子基盤や、実際の生物学的重要性については不明な点が多い。本研究は、M細胞特異的遺伝子の解析により、M細胞による粘膜面の免疫恒常性維持の分子機構を明らかにすることを目的とする。 当該年度は我々の研究で同定されたM細胞特異的に発現する2つの遺伝子に着目し研究を進めた。 1)M細胞に高発現するSOXファミリー転写因子(以下M-Sox)を欠損したマウスでは成熟M細胞が顕著に減少することが分かっている。そこで、M-Sox欠損マウスの免疫学的な表現型を解析した結果、腸管における特異的粘膜免疫応答が減弱していた。また、M細胞誘導因子であるRANKLの下流にある転写因子RelBについて解析した結果、M-Soxのプロモーター領域にRelBが結合していた。したがって、M-SoxはRelBによる転写制御を受けて発現し、M細胞の分化誘導を介して粘膜免疫応答に寄与することが明らかとなった。 2)M細胞に高発現するプレクストリン相同ドメイン含有ファミリー分子(以下M-Plek)ついてはその機能は未知であった。in vitroでの解析の結果、M-Plekは細胞膜および細胞骨格と共局在し、ホスファチジルイノシトールリン脂質との結合能を有していた。H28年度にCRISPR/Cas9システムを用いて作製したM-Plek欠損マウスを解析した結果、腸管内のIgA産生量が減少していたが、M細胞の数や蛍光ビーズの取り込み量に変化は見られなかった。このことから、M-Plekはビーズなどの固体の取り込みではなく、可溶性抗原の取り込みを介して粘膜免疫応答に寄与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度はM細胞特異的に発現する2つの遺伝子について解析を進め、発現制御機構、細胞内局在、結合する脂質などについて分子レベルの知見を得た。さらに、これらの遺伝子欠損マウスの表現型を解析し、粘膜免疫応答に重要な役割を果たしていることを明らかにした。これらのことから、M細胞特異的遺伝子について分子から個体レベルまで解析するという当初の計画通り順調に研究が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は1)M-Soxの下流で制御を受ける因子を探索するとともに、2)M-Plekによる可溶性抗原のトランスサイトーシスへの寄与を解析する。
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