2016 Fiscal Year Annual Research Report
大脳新皮質は如何にして獲得されたのか:神経幹細胞の制御機構の比較解析
Project/Area Number |
16J09444
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山下 航 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
|
Keywords | 進化 / 発生 / 大脳新皮質 / 神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、哺乳類大脳新皮質と鳥類・爬虫類の新皮質相同領域とを比較解析することで、哺乳類大脳新皮質の進化過程を明らかにすることである。 平成28年度は哺乳類、鳥類の神経幹細胞に対する遺伝子機能解析を通して、神経幹細胞の制御メカニズムを種間で比較した。その結果、転写因子Pax6下流において、進化的に保存されている幹細胞制御機構と、哺乳類が進化の過程で新たに獲得したと思われる機構を同定することに成功した。さらに、種間で見られたPax6下流遺伝子制御の変化がどのようなゲノム変異に由来するのかを特定するために、哺乳類・鳥類ゲノムのそれぞれからエンハンサー領域をクローニング、レポーターアッセイを行った。現在までに、哺乳類特有の脳構造の創出に寄与したと考えられるメカニズムをいくつか明らかにしている。我々の研究成果から、神経幹細胞制御機構の進化過程の背景には、転写因子による遺伝子発現調節機構およびシグナル伝達機構の、時空間的な制御様式の変化が存在することが判明した。 現在、爬虫類胚を対象とした実験を進めており、哺乳類特有に観察された神経幹細胞制御機構が祖先型なのかどうかを検証したいと考えている。予備実験から、爬虫類の神経幹細胞制御機構は、鳥類で見られたものと同じであることが示唆されている。現在、爬虫類神経幹細胞への遺伝子導入効率の向上に成功したため、今後は哺乳類・鳥類に加え、爬虫類でデータを収集し、神経幹細胞制御機構の進化過程をより詳細に調べたい
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
哺乳類・鳥類の各生物種で、複数の発生ステージごとに遺伝子機能解析を行ったため、データを収集するのに時間がかかった。しかし、以降の研究に関しては当初計画していたよりも早く成果を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた研究結果を参考に、爬虫類胚を対象とした実験を進める。
|
Research Products
(5 results)