2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J09535
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
阿藤 聡 立命館大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | レジスタンス運動 / 筋タンパク質合成 / 筋核 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋量を維持増大させるための運動としてレジスタンス運動は広く実施されているが、このメカニズムの多くは未だに明らかとなっていない。これまでの多くの研究によってレジスタンス運動を介した骨格筋肥大には運動による筋タンパク質合成の亢進と運動の繰り返しによる筋タンパク質の蓄積が重要であることが明らかとなっている。骨格筋は多核の細胞であり、単一の細胞(成熟筋細胞)内には数百の核が存在する。真核生物では核内のDNAの量とRNA及び細胞内タンパク質量が相関し、この特徴は広く酵母から鳥類まで観察されている。このことから細胞内のタンパク質合成能と関連性を有する核の量がレジスタンス運動による筋タンパク質合成能力を決定する一因子ではないかという仮説を立てた。本仮説を検証するため生理的な条件下で細胞質体積あたりの核数を増加させることのできる筋萎縮状態に着目した。具体的には、動物実験により筋萎縮状態での急性レジスタンス運動負荷が筋タンパク質合成に及ぼす影響を検討した。その結果、翻訳の開始に関与する分子複合体mTORC1の活性化はレジスタンス運動後、筋萎縮状態で通常状態に比較し高く生じるが、翻訳能力に関わるリボソームRNAの発現量は筋萎縮状態ではレジスタンス運動後も通常状態に比較して低値を示した。一方、筋タンパク質合成は筋萎縮状態においても通常状態と同程度にまでレジスタンス運動によって亢進した。 以上の結果から筋萎縮により筋細胞質の体積あたりの核は増加し、運動によるmTORC1の活性化は通常状態に比較し増大するもののタンパク質合成は増大しないことが明らかとなった。加えてmTORC1の活性化と筋タンパク質合成の不一致には筋萎縮状態でのリボソームRNAの発現低下が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、生理的条件下における筋核数の違いがレジスタンス運動による筋タンパク質合成による影響を検討した。筋萎縮下では核密度は増加し運動によるmTORC1の活性化は通常状態に比較し増大するもののタンパク質合成は増大しないことが明らかとなった。また筋萎縮下ではリボソームRNAの発現低下が関与していることから筋核数のみならずRNA転写の足場となる筋核の質もレジスタンス運動による筋タンパク質合成に重要な要因である可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は筋内の核数とレジスタンス運動による筋タンパク質合成亢進能力との直接的な関係性をより詳細に検討するため、実験動物を用いて単一筋線維レベルで運動による筋タンパク質合成亢進レベルと筋核数の関係を組織化学的に解析する。上記の実験結果から筋核数とレジスタンス運動による筋タンパク質合成亢進能力の関連性が示唆された場合、ヒト骨格筋試料を用いて同様の性質がヒトレベルにまで観察されるか検討を実施する予定である。
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