2016 Fiscal Year Annual Research Report
13族元素含有ベンゼン配位子を有する金属錯体の合成とルイス酸点を活用した触媒開発
Project/Area Number |
16J09602
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
仲村 太智 中央大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | ベンゼン / ヘテロベンゼン / 13族元素 / CH結合ホウ素化 / オレフィン重合 / 芳香族 / アルミニウム / ルイス酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高周期13族元素含有ベンゼン配位子を有する遷移金属錯体の合成とそれらを用いた反応開発を目的としている。その達成のために1.配位子のチューニングとしてのヘテロベンゼンライブラリの構築、2.ヘテロベンゼン配位子を有する後周期遷移金属錯体の合成とCH結合ホウ素化触媒の開発、3.ヘテロベンゼン配位子を持つ前周期金属錯体の合成とオレフィン重合触媒の開発の3つを行った。 1については、アルミナベンゼン配位子前駆体のアルミニウム原子上にMe、ビストリメチルシリルアミド基、Bn基の導入に成功した。また新たなヘテロベンゼンとしてインジウムを骨格に含んだベンゼンの合成に成功した。 2については、アルミナベンゼン-Rh(cod)、アルミナベンゼン-Ir(cod)錯体の合成に成功し、CHホウ素化の触媒反応の検討を行なった。合成した錯体を用いるとベンゼンのCH結合のホウ素化はほとんど進行しなかったが、窒素原子を分子内に持つ基質を用いた場合に収率が向上した。さらにIr錯体を触媒に、トリエチルアミンを基質に用いた場合、2級炭素のCH結合が優先的にホウ素化される反応を初めて開発した。 3については、アルミナベンゼン-Zrハーフメタロセン錯体の合成に成功し、この錯体は配位子のアルミニウムのルイス酸性を活かし、Zr上のBn配位子を引き抜いたZrカチオンの構造であった。この錯体は従来のオレフィン重合触媒では必ず必要とされる助触媒を添加することなく、エチレン重合の触媒として働くことを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1については、アルミニウム原子上への嵩の異なる置換基導入に成功した。電子供与性置換基の導入はできているが、電子求引性置換基の導入には至っていない。また、ガラベンゼンのライブラリの構築は今後の課題である。 2については、アルミナベンゼン配位子を有するRhおよびIr錯体の合成に成功し、どちらの錯体もCHホウ素化の触媒反応の活性を示すことを明らかにできた。さらに基質にトリエチルアミンを用いた場合、特異な選択性を見出だせた。ヘテロベンゼンライブラリを用いた錯体合成と触媒反応は今後の課題である。 3については、アルミナベンゼン配位子を有するZrハーフメタロセン錯体の合成に成功し、その構造を明らかにした。この錯体は配位子のアルミニウムがルイル酸としてZr上の置換基を引き抜いており、助触媒無しでエチレン重合の触媒として機能したため、この触媒系のコンセプトを明示できた。 ヘテロベンゼンライブラリを用いた錯体合成と触媒反応は今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘテロベンゼンライブラリの拡充を行う。構築したライブラリと遷移金属との錯体を合成し、構造、理論計算、反応性からその性質を明らかにする。また、ヘテロベンゼン配位子の変更により触媒活性、触媒反応の選択性の向上を狙う。 ヘテロベンゼンライブラリとして13族元素上の置換基が異なるガラベンゼンおよびインダベンゼンを合成し、それらの13族元素上の置換基も検討する。構築したライブラリと4族および9族の遷移金属との錯体を合成し、ヘテロベンゼンの違いによる性質の比較を行う。合成した9族金属錯体による、ルイス塩基性部位を持つ基質のCH結合ホウ素化触媒反応を検討し、触媒活性および選択性の向上を図る。また、合成した4族金属錯体による、オレフィン重合を検討し、重合反応や得られたポリマーの物性をメタロセン触媒と比較する。
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