2016 Fiscal Year Annual Research Report
地球化学データセットの統計解析に基づく中古生代における地球環境の進化
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16J09728
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
曽田 勝仁 熊本大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 中生代 / 化学組成 / 統計解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
採用第1年度目では,本課題の達成のために,野外調査や地球化学データセットの構築に取り組む予定であった.しかしながら,4月中旬に起こった熊本地震の被害によって,使用する機器や設備が破損および故障に見舞われたため,昨年度の12月まで修理できないといったアクシデントが生じた.その結果,本課題での当年度の予定通りに研究計画を進めることが困難になった. そこで,以前の研究計画を若干変更することによって,帳尻あわせを行った.すなわち,1年目で行うはずであった地球化学データセットの構築に当てる作業の一部を,2年目で行うはずであった地球化学データセットの統計解析に当てることにした.具体的には,地球化学データセットの特性に対してある程度適した多変量解析を実行するための独自のプログラムを作成し,構築途中の化学組成データセットに対して解析を行った. その結果,陸源物質,生物源物質,鉄マンガン物質成分などの堆積成分を分離および抽出することに成功した.これらのうち,陸源物質成分に関しては,鉱物組成の分析を行うことによって,以上の計算結果に対してさらなる検証を行う予定である.鉄マンガン成分に関しては,その濃集および枯渇パターンの特徴として,鉄やマンガンの海洋における滞留時間を考慮してもおおむね整合的な計算結果となった.これらの解析結果は,近年注目されているXAFS分析のような局所的化学種分析とは独立で堅牢な手法となり得る可能性を示唆しており,非常にインパクトのある成果と言える.そのため,今後としては地球化学データセットの構築とともに本手法の洗練化にも努める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度では,野外調査や地球化学データセットの構築に取り組む予定であったが,4月中旬に起こった熊本地震の被害によって,使用する機器や設備が故障して昨年度12月まで使用できないといったアクシデントに見舞われた.そのため,予定通りに研究計画を進めることはできなかった. しかしながら,化学分析などの機器依存の作業に当てる時間分を,長期間の野外調査や数値解析などの人的依存の作業に重点的に時間を当てることによって,柔軟に研究計画を変更させ,岩石サンプルの大量採取とデータ解析の結果を残すことができた.以上の研究進捗状況より,期待ほどではないがおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
採用第2年度目では,従来予定していた1年度目の地球化学データセットの構築に取り組む.分析対象としては,1年度目で大量に採取した岩石サンプルで,分析方法としては,XRF分析やICPMS分析を用いるが,場合によっては鉱物組成にも取り組んでいく予定である. また,熊本地震の被害による研究計画の帳尻合わせで行った1年度目の統計解析の結果は,近年注目されているXAFS分析のような局所的化学種分析とは独立で堅牢な手法となり得る可能性を示唆しているため,今後としては地球化学データセットの構築とともに本手法の洗練化にも努めていく予定である.
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