2016 Fiscal Year Annual Research Report
ナノカーボンを用いたテラヘルツイメージングの高速画像化技術の開発
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16J09937
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 大地 東京工業大学, 大学院理工学研究科(工学系), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 光熱起電力 / フレキシブルスキャナー / 電気二重層技術 / カーボンナノチューブ / 非破壊検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究を通じて、ナノカーボンを用いたテラヘルツ(THz)イメージングの広帯域化・高感度化・高速化を達成した。 単一検出器の性能向上について、検出器の材料であるカーボンナノチューブフィルムの膜厚・サイズ・バンドル径といった要素の最適化、及びPN接合を使用した高感度化等を実施し、0.14~39THzでの広帯域な検出を達成した。また、感度の指標である等価雑音電力(NEP)についても、室温において242 pW/√Hzという既存の室温動作検出器(NEP = 20 nW/√Hz)の82倍の高感度化を達成した。加えて、材料の薄膜下や熱の制御といった技術を導入することで、検出器の応答速度を30msまで向上することができた。これにより、単一検出器では5秒で166pixelの解像度を実現することが可能であるため、当初の目標である5秒以内に100pixelの解像度を達成することができた。 また、作製した単一検出器を用いたTHzイメージングを実施し、封筒にいれられた薬剤等の薬品同定や、医療器具等のマルチビュースキャンによる混入物検査といったTHzイメージング応用の有力なデモンストレーションを実現した。 得られた研究成果により、光学分野で最も影響力のある学術論文誌の1つ「Nature Photonics」等への論文誌掲載や、「フジサンケイビジネスアイ先端技術大賞 ニッポン放送賞」という名誉ある賞の受賞、産学連携による特許出願等、国内外問わず多くの研究成果を挙げており、当初の計画以上に進展していると評価できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
到達目標1,広帯域(1~30THz)な検出器、室温動作かつ高感度(既存の検出器の10倍以上)な検出器の作製については、室温での広帯域(0.14~39THz)なTHz検出および室温においてNEP=242 pW/√Hzという既存の室温動作検出器(NEP = 20 nW/√Hz)の82倍の高感度化を達成した。以上から、到達目標1については100%達成した。 到達目標2,高速なモニタリング技術の開発については、検出器単体の高速化を実施し、検出器の応答速度を30msまで向上することができた。これにより、単一検出器では5秒で166pixelの解像度を実現することが可能であるため、当初の目標である5秒以内に100pixelの解像度を達成することができている。以上から、到達目標2については60%程度達成した。 到達目標3,THzアプリケーションの実現については、単一検出器を用いたTHzイメージングを実施し、封筒にいれられた薬剤等の薬品同定や、医療器具等のマルチビュースキャンによる混入物検査といったTHzイメージング応用の有力なデモンストレーションを実現した。以上から、到達目標3については75%程度達成した。 到達目標4,産学連携による本技術の産業界での実用化については、産業展開を推し進めるための2件の特許出願を達成することができ、本技術の産業界での実用化に向け、躍進する成果を挙げることができた。以上から、到達目標4については100%達成した。 初年度において到達目標の8割を達成していることから、当初の計画以上に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に記載のとおり、平成28年度において到達目標の8割を達成した。平成29年度の推進方策としては下記の通りである。 到達目標2,高速なモニタリング技術の開発について、作製した高速THz検出器を並列にアレイ化し、並列読み出し回路を組み合わせることで100×100pixelの解像度を5秒以内にスキャンすることを達成する。 到達目標3,THzアプリケーションの実現については、作製したアレイスキャナーを用いて封筒にいれられた薬剤等の薬品同定や、医療器具等のマルチビュースキャンによる混入物検査といったTHzイメージング応用の有力なデモンストレーションを実現する。 また、到達目標1及び4についても引き続き取り組み、更なる高感度化及び本成果の産業展開に注力する予定である。
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Research Products
(11 results)