2016 Fiscal Year Annual Research Report
成体骨格筋の発生起源別にみる部位特異性分子基盤の解明
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16J09948
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉岡 潔志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 骨格筋 / サテライト細胞 / 筋再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、身体内の骨格筋間の部位特異性を生む分子基盤の一端を明らかにすることである。この研究目的を達成するため、筋の発生起源ごとに発現が顕著に異なり、かつ骨格筋の幹細胞であるサテライト細胞の増殖能を制御していることが独自の研究で明らかとなったHoxa10に着目した。 成体内の骨格筋において詳細にHoxa10の発現を調べたところ、鰓弓由来の頭部筋ではHoxa10の発現がみられず、体節由来の四肢筋においてはHoxa10が発現していることを確認した。Hoxa10の成体内骨格筋での機能を調べるため、タモキシフェンの投与により、サテライト細胞特異的にHoxa10をノックアウトできるPax7-CreERT2;Hoxa10-flox/floxマウス(Hoxa10CKOマウス)を作成した。Hoxa10CKOマウスを用いて、ノックアウト誘導後に頭部筋である咬筋、及び下肢筋である前脛骨筋を、カルディオトキシンにより損傷させたところ、前脛骨筋の筋再性能が低下した一方で、頭部筋への影響はみられなかった。さらに、Hoxa10CKOマウスの骨格筋幹細胞であるサテライト細胞を前脛骨筋から単離し、培養上でノックアウトを誘導したところ、Rbタンパクの脱リン酸化、EdU陽性細胞数の低下、S期比率の減少、細胞増殖能の低下がみられ、これらノックアウトによる影響は頭部筋由来のサテライト細胞ではいずれも確認できなかった。以上より、Hoxa10は身体部位による筋再性能制御メカニズムの違いを生む分子の一つであることを示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、野生型マウスにおけるHoxa10の骨格筋での発現分布を確認し、成体内骨格筋においても発生起源ごとに発現が異なることを確認した。また、本研究で用いるHoxa10CKOマウスが完成し、成体での筋再性能の解析や、このマウスから単離したサテライト細胞の培養上での解析も進んでいる。ヒト骨格筋初代培養細胞を用いた解析にも着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、RNAシーケンスを用いたデータ解析に着手する予定である。解析から得られた結果を吟味し、培養細胞及びマウス個体レベル、さらにヒト初代培養筋芽細胞をもちいてHoxa10の機能を詳細に調べる予定である。
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