2016 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨内骨化におけるNF-κBの時空間的制御機構の解明
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16J09963
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
中富 千尋 九州歯科大学, 歯学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 軟骨細胞 / 軟骨細胞分化 / NF-κB非古典的経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、NF-κB非古典的経路が恒常的に活性化している変異型マウス(Δp100マウス)成長板軟骨における表現型を経時的に観察するとともに、軟骨細胞分化マーカーの発現や軟骨細胞の増殖やアポトーシスにどのような変化が生じているかを主に組織学的手法を用いて詳細に検討し、以下の結果を得た。 1 野生型および変異型マウスの骨格標本を作製し、全身の骨・軟骨の形態、石灰化の状態を比較したところ、変異型マウスでは頭蓋縫合、膝蓋骨の骨化遅延が認められた。 2 野生型および変異型マウス成長板軟骨を組織学的に比較したところ、変異型マウス成長板軟骨は厚さが狭く、またその変化は生後14日目以降に急激に生じることが明らかになった。 3 in situ hybridization法を用いて、成長板軟骨における種々の軟骨細胞分化マーカーの発現を詳細に検討した。変異型マウスではCollagen type II / X、Aggrecan、Mmp13のmRNA発現が生後14日目以降に著しく減少しており、特に後期分化マーカーであるCol X、Mmp13は生後21日目でその発現がほぼ消失していた。 4 変異型マウスの軟骨細胞の増殖能を評価するためにBrdUラベリング実験を行った。胎生18.5、生後7、14、21日目マウスにBrdUを腹腔内投与し、組織標本作製後BrdU取り込み細胞を検出したところ、胎生18.5日目の脛骨成長板軟骨では増殖軟骨細胞層におけるBrdU陽性細胞の割合が約2倍近く有意に増加していることが分かった。一方、生後7日目以降はその数が有意に減少し、生後21日目では陽性細胞をほとんど検出することができなかった。 以上の結果から、変異型マウスでは成長に伴い軟骨細胞の増殖能が低下し、正常に分化できる軟骨細胞数が減少している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織学的解析を中心に行い、NF-κB恒常的活性化型変異マウスにおいて成長板軟骨に形態異常が生じ、さらに主要な軟骨細胞マーカー遺伝子の発現が減少していることを明らかにしている。現在のところ研究目的を達成するためにおおむね当初の計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
NF-κB古典的経路が抑制されているRelB-/-マウスと恒常的に活性化されているΔp100マウスのDouble mutant miceを作成し、Δp100マウスに生じている軟骨細胞の増殖分化障害が回復されるか詳細に検討する。さらにΔp100マウス軟骨細胞におけるNF-κB2下流分子をマイクロアレイ法を用いて探索する予定である。
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