2017 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光プローブライブラリーを用いた癌イメージング蛍光プローブの創製と創薬への展開
Project/Area Number |
16J09996
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗木 優五 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / カルボキシペプチダーゼ / 疾患イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に見出していたカルボキシペプチダーゼ(CP)に対するアクチベータブル蛍光プローブの分子設計法の改良および開発したプローブを用いたイメージングに取り組んだ。 分子設計法の改良においては、求電子種であるキサンテン環の電子を欠損させることで求電子性を上昇させることを指針とした。種々の誘導体展開と光学特性の精査を行ったところ、キサンテン環の2,7位にクロロ基を有する誘導体が、生理的条件下において更なるS/Nの向上が期待できる設計であることが明らかとなった。そこでこの誘導体に基質部位としてフェニルアラニンおよびアルギニンを有する化合物を合成し、脂溶性アミノ酸を基質として好むカルボキシペプチダーゼA(CPA)、塩基性アミノ酸を好むカルボキシペプチダーゼB(CPB)とそれぞれ反応させたところ、開発したこれらの化合物は双方とも酵素によって基質として認識され、それぞれ23倍、80倍の蛍光上昇を起こすことを見出した。これは昨年度報告した誘導体のS/Nである13倍、23倍と比較して優れたものであった。 次に開発したプローブを用いた膵液漏イメージングへの応用を行った。CPAおよびCPBは、前駆体であるproCPAおよびproCPBとして膵液中に存在することが知られている。そこでまずin vitroの系において、前駆体を活性化するトリプシンを添加することで膵液中のCP活性が検出可能であることを確かめた。この結果を基に、本プローブが膵液漏イメージングに応用可能であるかを検討するため、マウスから臓器を取り出し、膵臓を切断した状態でプローブとトリプシンの混合液を散布したところ、膵臓切断部位からのみ経時的な蛍光の上昇が観測され、阻害剤を用いた場合や膵臓を切断しなかった場合では蛍光上昇は見られなかった。この結果は、開発したプローブが膵液漏検出に適用可能であることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当研究課題の遂行に必要不可欠な、疾患における特徴的な酵素活性を検出可能な新たな蛍光プローブの開発に成功し、イメージングによる疾患診断の可能性を十分に示す結果を得られたため。また、本年度開発した分子設計法が、上述したフェニルアラニンやアルギニン以外のアミノ酸にも適用可能であることを確かめており、蛍光プローブライブラリーの創製に向けて順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はCP活性を検出する蛍光プローブライブラリーの拡張および様々な疾患における特徴的な酵素活性の探索を行っていくと共に、現在までに見つかっている腫瘍部位に特異的な酵素活性を利用したプロドラッグ型抗がん剤の開発を進めていく予定である。
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Research Products
(11 results)