2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J10062
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鳥羽瀬 翼 熊本大学, 大学院自然科学研究科(理), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 隕石溶融ガラス / 天然ガラス / K-T境界層堆積物 / D-C境界層堆積物 / XAFS / Ca, Ti, Fe局所構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
○隕石・テクタイト、宇宙塵などが大気圏突入の際に表面が溶融してできる急冷溶融ガラスの局所構造解析、○古生代に見られた大量絶滅に関わる地層の中に見出されるホストやゲスト成分元素として少量から微量に含まれる各種元素の局所構造解析を行った。局所構造解析はX線吸収分光法(XAFS法)を用いて行い、XAFS実験は共同利用放射光研究施設による公募研究にて行った。 月から飛来したOdessa隕石や炭素質のAllende隕石などの急冷溶融ガラスのCa, Ti, Fe局所構造を解析した。各元素の局所構造解析により隕石溶融ガラスの多様なイベントとして、大気圏突入時の高温と急冷環境、雰囲気下で形成されたことが解析可能となった。得られた研究成果は、XAFS16thの学会において発表しており、Journal of Physics: Conference Seriesに公表している。 大量絶滅に関連する境界層の白亜紀―古第三紀(K-T)境界層粘土とデボン紀―石炭紀(D-C)境界層粘土の含有元素の局所構造解析を行っている。K-T境界層粘土とD-C境界層粘土のTi局所構造を比較した結果、違いが明瞭になった。この二つの境界層粘土の違いから、Tiの局所構造においてK-T境界層粘土は隕石衝突の痕跡を持つ特殊な構造を持つことを明らかになった。堆積層において隕石衝突事象を検討することができることを発見した。この結果は国内の学会や国際学会において口頭発表しており、現在国際誌に投稿・査読中である。粘土層中には非結晶質部分が50%以上含まれているが、非結晶質の精密解析が困難であることから今までは詳細な研究を行うことが難しかったが、XAFS法を用いることにより今まで得られてこなかったような情報が得られるようになってい 様々な堆積層中の粘土鉱物をXAFS法による解析を進め、堆積時の環境推定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題において、大量絶滅を引き起こす隕石衝突により形成された天然ガラス、また月や火星から隕石衝突により地球に落下してきたものを含めて、最新の手法を用いた、研究を追行している。当該年度では特に古生代後半の酸素激減イベントでの大量絶滅境界層粘土の詳細研究で目覚ましい成果を挙げていると判断できる。X線吸収分光法の最先端技術による多様な元素を対象にした局所構造解析は極めて重要な科学情報を得ている。ガラス内の局所構造が隕石衝突時の超高温環境や酸素欠乏による独特な非晶質化合物の特定や極めて稀なバナジウム化合物の同定等に成功しており、一流国際誌対応の成果を続々とあげている。月や火星起源の隕石の溶融ガラス部の局所構造解析の特異性と形成過程で新たな知見が得られつつある。いくつかの成果報告はプロシーディングス掲載され、一流紙に投稿・査読中のものが数編ある。研究報告は国外の国際会議等でも発表している。現在は超高温高圧実験による、極限環境経験ガラス解析など、多方面からのアプローチを行っており、異分野の研究室の教員・学生と協力して新たな視点からの研究展開を図っている。結晶鉱物の精密構造解析、数理結晶学、化学結合論の理論など結晶化学的方面のグレードアップのため、フランスのロレーヌ大学に留学し理解を深めている。海外の研究・実験施設で得られた経験を活かして研究をさらに研究を発展させることができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、隕石溶融ガラスの局所構造解析を進める予定である。月などの隕石やOdessa隕石やAllende隕石の研究を主に行ってきている。隕石溶融ガラスの表面は大気圏突入時の環境により隕石本来の構造を保持していないが、隕石内部は隕石本来の局所構造解析を保持していると考えられる。隕石内部と溶融ガラスを比較することで、隕石の高温における構造変化を観測することで溶融ガラスに起こった環境変化を推定する。またテクタイトについても同様の核と殻の部分を比較し、テクタイトが形成環境を推定する。同元素におけるテクタイトと溶融ガラスの局所構造や化学組成を比較することでそれぞれの天然ガラスの違いを調べる。 大量絶滅に関連する境界層粘土の局所構造解析については、D-C境界層粘土の局所構造解析をさらに進める。Tiの局所構造解析により、D-C境界層粘土はK-Tとも異なる特殊な変化が起きていることが明らかになった。Ti以外にも、ZrやFe, Ca, Mnなどの元素を解析して詳しくD-C境界層粘土の形成環境を推定する。
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[Journal Article] Weathering and precipitation after meteorite impact of Ni, Cr, Fe, Ca and Mn in K-T boundary clays from Stevns Klint2016
Author(s)
Yumiko Miyano, Akira Yoshiasa, Tsubasa Tobase, Hiroshi Isobe, Hidetomo Hongu, Maki Okube, Akihiko Nakatsuka, Kazumasa Sugiyama
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Journal Title
Journal of Physics: Conference Series
Volume: 712
Pages: 012097
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Local structure of Ti in K-Pg and D-C boundary clays: Possible Marker of Large Meteorite Impact2016
Author(s)
Tobase, T., Nespolo, M., Yoshiasa, A., Hongu, H., Komatsu, T., Maekawa, T., Okube, M., Arima, H., Sugiyama, K
Organizer
The 13th Conference of the Asian Crystallographic Association (AsCA)
Place of Presentation
ベトナム、ハノイ
Year and Date
2016-12-04 – 2016-12-07
Int'l Joint Research
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[Presentation] XAFS study of Ti in K-T boundary clays: possible marker for the meteorite impact2016
Author(s)
Tsubasa Tobase, Nespolo Massimo, Yoshiasa, Akira, Komatsu, Toshifumi, Hiratoko, Tatsuya, Hongu, Hidetomo, Okube, Maki, Arima, Hiroshi, Sugiyama, Kazumasa
Organizer
4th MSNano conference on recent advances in the multiple scattering approach to spectroscopies
Place of Presentation
フランス、レンヌ、レンヌ第一大学
Year and Date
2016-07-01 – 2016-07-02
Int'l Joint Research