2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J10098
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
一ノ瀬 大地 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 圧電体 / 強誘電体 / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下に該年度の主な業績を示す。 【発表論文】①Daichi ICHINOSE et al., Orientation change with substrates type and composition in (100)/(001)-oriented epitaxial tetragonal Pb(Zrx Ti1-x)O3 films, Journal of the Ceramic Society of Japan, アクセプト済 【学会発表】②第33回強誘電体応用会議, Zr/(Zr+Ti)比によって歪量を連続的に制御して作製したPb(Zr,Ti)O3エピタキシャル薄膜の構造変化③第77回応用物理学会秋季学術講演会, 面内分極軸優先配向Pb(Zr,Ti)O3薄膜のドメイン構造④第36回エレクトロセラミックス研究討論会,正方晶Pb(Zr,Ti)O3薄膜のドメイン構造の配向及び歪み制御⑤International Symposium on the Applications of Ferroelectrics(ISAF), Formation Process of tetragonal Pb(Zr,Ti)O3 domain structure 【受賞】⑥第36回エレクトロセラミックス研究討論会優秀賞 ①に関しては、圧電特性に非常に重要なドメイン構造及び配向について、制御するための方法を記す論文である。これは、本研究の着目点であるドメインスイッチングを活用する上でベースとなる知見である。②, ③, ④に関しては、上記①の成果に基づき、国内で学会発表したものであり、⑥はその際に受賞したものである。⑤に関しては、上記①の成果に議論するために海外で学会発表したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、ドメインスイッチング機構を利用し、高い圧電特性を有する非鉛圧電体の創成を行うことである。そして、この目的の達成のために、以下の2点について調査を行う。 ①Pb系圧電体において、ドメインスイッチング機構の詳細な解析を行う。 ②非鉛圧電体において、ドメインスイッチング機構が適応可能かを調査する。 採用1年目である本年度は、Pb系圧電体において、ドメインスイッチングの詳細な解析を試みた。主にドメイン体積分率を変化させた試料において、電界印加時のドメイン構造変化の評価を行った。a-domainの体積分率(Va)が低いドメイン構造の電界印加時の変化は、今までにいくつか報告されている。a-domainからc-domainへとスイッチングが起こり、ドメインの境界が動くということが知られている。それに対し、a-domainの体積分率(Va)が高いドメイン構造は、低い場合と比べ、ドメイン構造及び電界印加時の変化の挙動が異なる。a-domainから双晶として構成されるa/a-domainとa-domainとc-domainで構成されるa/c-domainから成っており、電界印加時はそれらのドメイン構造が微細になっていることが分かった。これは、電圧印加によって、ドメインに発生している歪みが緩和し、再構成していると考えられる。a-domainの体積分率(Va)が高いドメイン構造において、高い圧電性が得られるのは、このようにドメイン境界の密度が高くなったことに起因することが考えられる。この知見は、今後の非鉛圧電体への拡張のためのベースとして活用できると考えている。今後は、このような知見をもとに非鉛圧電体を開発するとともに、なぜこのような現象が起きたかを調査していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は、Pb系圧電体のドメインスイッチング機構の詳細な解析を行った。その結果として、ドメインの割合を制御する方法を見出し、更に電界印加時のドメイン構造の変化が、ドメインの割合によって異なるという知見を得た。この結果は、ドメインスイッチング機構を活用する上で非常に重要な知見であり、今後の非鉛圧電体の開発において有用であると考えている。 今後の研究の推進方策としては、電界印加時のドメイン構造変化がなぜ、ドメインの割合によって異なるのかということを調査し、その知見を非鉛圧電体に適用可能かどうかを判断したいと考えている。その上で、非鉛圧電体の開発を推進させたいと考えている。
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Research Products
(5 results)