2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J10223
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤澤 幸太郎 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
|
Keywords | 系外惑星 / 回転星 / 惑星進化 / 褐色矮星 / 恒星進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近年観測され始めた高速回転する系外惑星の進化計算と構造計算の両方を行うことで、高速回転する系外惑星を系統的に理解することである。またその結果を用いて、観測と理論モデルが合わない半径異常などの諸問題に取り組んでいくことである。そのため本研究を遂行するためには、1.惑星の進化計算と、2.高速回転する惑星の構造計算、の2つの計算を行う必要がある。 初年度はこの2つの計算を行うための数値計算コードの習熟や改良に費やした。1に関しては、オープンソースの恒星進化計算コードであるMESAコードを用いることにした。MESAコードは恒星進化の数値計算コードであるが、惑星の進化計算も同様に行うことができる。そこでMESAコードの使い方を学び、MESAコードで様々な系外惑星の進化計算を行うことができるようになった。2に関しては、申請者がこれまで作成してきている高速回転する恒星の構造を求める数値計算コードを改良することで、高速回転する系外惑星の構造を求める数値計算コードを開発した。これらの二つの数値計算コードを組み合わせることによって、高速回転する系外惑星の構造の進化計算を行うことができるようになった。 そこでこれらの数値計算コードを用いることで、β Pictoris bなどの高速回転する系外惑星の構造の進化計算を行うことに成功した。その結果、惑星内部のコアの構造に弱く依存しながら、系外惑星は進化とともに自転速度が増加し、太陽系内の惑星と同程度まではスピンアップすることが明らかになった。 さらにこれらの数値計算コードを用いることで、惑星よりも質量の大きい高速回転する褐色矮星の構造、進化計算も同様に行うことに成功した。その結果、一部の高速回転する褐色矮星は進化するにつれて自転が大きくなっていき、限界の自転速度であるブレイクアップ付近までスピンアップすることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は本研究は高速回転する系外惑星、特に木星型のガス惑星の進化計算と構造計算を行うことを主目的としていた。しかし初年度の研究を遂行していくうちに、惑星よりも質量が大きく、恒星よりも質量が小さい褐色矮星もその多くが非常に高速で回転しており、また系外惑星で議論されている半径異常問題も、褐色矮星では系外惑星よりも活発に議論されていることが分かった。褐色矮星は惑星と恒星の中間的な天体であるため、惑星と似た特徴も数多く持っており、回転進化という点では非常に参考になるといえる。 そのため初年度は、当初から計画していた系外惑星の回転構造の進化計算に加えて、当社は計画していなかった褐色矮星の回転構造進化計算も行うことに成功した。このように本研究は当初の計画以上に幅広い研究に広がってきており、計画以上に進展しているということができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究によって高速回転する系外惑星の構造と進化計算を行う数値計算コードの改良と整備はほぼ完了し、具体的な高速回転する系外惑星のモデルを数多く計算することにすでに成功している。また高速回転する褐色矮星のモデルを計算することにも成功した。その結果、高速回転する褐色矮星の研究は高速回転する系外惑星の研究にとっても非常に有意義であることが明らかになってきた。 そこで次年度以降は、系外惑星研究に加えて、褐色矮星の研究も積極的に行うことで、系外惑星・褐色矮星の系統的な理解を深めていき、半径異常問題や形成過程に関する諸問題に取り組んでいく。特に、その回転進化と形成過程に着目することで取り組んでいく。
|
Research Products
(5 results)