2017 Fiscal Year Annual Research Report
A systematic study of rapidly rotating exoplanets
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16J10223
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤澤 幸太郎 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 系外惑星 / 褐色矮星 / 熱進化計算 / 回転星計算 / 数値計算スキーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年に引き続き、高速回転している褐色矮星の研究に取り組んだ。褐色矮星は恒星よりも質量が小さく、惑星よりも質量が大きい天体であり、系外惑星の回転進化を理解する上で重要な天体である。若い褐色矮星の系統的な観測によると、褐色矮星は少なくとも10Myr程度のタイムスケールでは角運動量を失うことなく収縮しスピンアップしている。そこで高速回転する褐色矮星のさらに長いタイムスケールの回転進化計算を、MESAコードと回転平衡形状計算コードの両方を用いて求めた。 その結果、年齢が5Myrから10Myr、自転周期が5時間から16時間程度で自転している褐色矮星は、冷却とともにスピンアップしていき、100Myrから1Gyr以内に自転で形状が保てなくなるブレイクアップ回転までスピンアップしうることが分かった。実際に自転が観測されている褐色矮星とこの理論モデルを比較したところ、少なくない数の褐色矮星がブレイクアップ回転に到達しうることが明らかになった。この高速回転する褐色矮星の結果は現在論文としてまとめており、近いうちに学術誌へと投稿する予定である。さらに本研究に関しては、国内外の研究会や研究機関での発表・議論も積極的に行っており、様々な研究者との議論も深めている。 一方で、高速回転する星の構造を求める数値計算コードを改良も同時に行っており、その結果新しい数値計算スキームの開発に成功した。この新しい数値計算スキームを応用することで、回転し磁場を伴っている定常降着流の計算・研究も行い、その結果に関してはすでに国際研究会で発表を行った。この新しい数値計算スキームを用いることでさらに本研究課題を加速させていくことが可能となった。 以上のように、本年度は当初の研究計画のみならず、回転星計算のための数値計算スキームの開発やその応用として定常降着流の研究も行い、研究を多方面に展開することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は本研究は高速回転する系外惑星、特に木星型のガス惑星の進化計算と構造計算を行うことを主目的としていた。しかし初年度、及び次年度の研究を遂行していくうちに、惑星よりも質量が大きく、恒星よりも質量が小さい褐色矮星もその多くが非常に高速で回転しており、また系外惑星で議論されている半径異常問題も、褐色矮星では系外惑星よりも活発に議論されていることが分かった。褐色矮星は惑星と恒星の中間的な天体であるため、惑星と似た特徴も数多く持っており、回転進化という点では非常に参考になるといえる。 一方で、本研究課題の根幹となる数値計算スキーム研究に関しても大きな進展があり、新しい非常に強力な数値計算スキームの開発に成功した。この数値計算スキームは様々な天体現象を記述する方程式に応用が可能であり、本年度は磁場と回転を伴った定常降着流問題を求めることに成功した。このように本研究課題は多方面に広がりを持っており、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度・次年度を通じて高速回転する系外惑星・褐色矮星の回転進化計算を系統的に行うことができた。また、そのための非常に強力な数値計算スキームを作成することにも成功した。そこで今後はこの新しい数値計算スキームを活用することで、系外惑星・褐色矮星の両方に共通するような半径進化問題や形成過程に関する諸問題に取り組み、その結果を論文としてまとめていくことで本研究課題をまとめ上げていく。
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Research Products
(3 results)