2017 Fiscal Year Annual Research Report
Acute Kidney Injury in Critically Ill Patients - A Multiceltre Cohort Study in Japanese ICUs
Project/Area Number |
16J10320
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 智子 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
|
Keywords | 重症患者 / 集中治療 / 急性腎傷害 / 敗血症 / 疫学 / 臨床研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、JAKIDへの患者登録 JAKID参加13施設からのデータ登録によって、予定通りの数の患者がJAKIDに登録された。追跡データについては、3月31日までの病院最終転帰が不明な患者(まだ入院中の患者)が多かったため、10月まで観察期間を延長し、10月末にデータを固定した。結果報告ミーティングを大阪と東京で開催し、研究グループ全体で結果の速報値を共有し、今後のデータ利用について方針を確認した。 2、データの解析、論文執筆 平成28年7月1日から同年12月31日までに、13施設のICUに入室した2421件がJAKIDに登録された。内、初回入室2292件が主な解析対象となった。AKIの国際診断基準KDIGOに基づき、AKIと診断された患者は44.7%の1024人であった。AKIの重症度が上昇するに伴って患者の死亡率は上昇していた。2016年に発表された敗血症診断基準Sepsis-3を用いて診断した敗血症患者を対象としたサブグループ解析では、敗血症患者においてAKIはこれまでに見られたような死亡リスクを上昇させる効果は見られなかった。論文は3月末時点で国際学術誌の査読中である。 3、諸外国専門家との共同研究 カナダの研究者とともに、敗血症患者に対する急性血液浄化療法PMX-HPの有効性を検証する系統的レビュー・メタ解析研究を実施した。PMX-HPは、敗血症患者の28日死亡のリスクを下げるとは言えず、この結果をIntensive Care Medicine誌に報告した。また、ICUにおける血液浄化療法は侵襲的介入を伴い、患者に心身の負担を与えるものである。侵襲的な診療に携わる医療者もまた、心身ともに負担を感じている。カナダ、米国の研究者とともに、ICUの医師・看護師の抱える倫理的苦悩(侵襲的治療選択等)についての調査研究を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、転帰情報を含めて該当患者のデータベースを確定し、直ちに統計解析と基本論文の執筆を行って投稿も済ませた。この論文では基本的な病像や予後を記述するとともに従来はっきりしていなかった敗血症とAKIとの関係にも言及している。当該年度に予定していた多施設共同の研究を計画通り進め、得られた成果を論文にまとめたもので、遅滞なく研究が進んでいる。 すでにデータベースを用いた複数のさらなる研究計画が進められており、研究計画は当該研究のホームページで順次公表している。 さらに、重症患者診療に携わる医療者の抱える心理的負担についても研究を進めており、治療制限や治療選択と相互に影響を及ぼすと考えられる医療者の心理的な負担について、混合研究法を用いた研究を実施した。患者データのみならず、医療者の労働衛生、メンタルヘルスにも視野を広げ、重症患者診療全体を改善するための包括的アプローチを進めている。調査で使用する尺度(英語)を日本で利用できるよう翻訳し、妥当性の検証研究を経て、実際にICU医師・看護師への調査を完了したもので、当初の予定よりもより深く、より先へ、取り組むことができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度はJAKIDで構築したデータベースを用いて、重症病態の評価と有効な治療法の探索に関する研究を行い、学術集会、国際学術誌への報告を行う予定である。 平成29年度末の時点で、AKI患者へのカルペリチド投与の有効性の検証、重症患者の血行動態管理によるAKI発症の予防、AKI患者の血行動態管理の予後への影響、重症患者の臓器障害スコア(SOFAスコア)へのAKI国際診断基準の適用の有用性、AKI国際診断基準に用いる基礎値の定義、の5つの課題について検討する予定で計画が進められている。 また、重症患者診療に携わる医療者の抱える心理的負担については、平成29年度に得られた調査データを分析・解析し、順次、国内外の学会・学術誌に報告予定である。
|
Research Products
(10 results)