2016 Fiscal Year Annual Research Report
Why did cats become our pet? Approaches from gene and behavior.
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16J10349
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒堀 みのり 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | ネコ / DNA / 行動特性 / ネコ科 / 家畜化 / 行動遺伝学 / オキシトシン |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究1) 候補遺伝子および対象領域の選択: 母子間や飼い主-イヌ間の愛着関係では神経ペプチドであるオキシトシン(OXT)が重要な役割を担っていると考えられ、家畜化されていないオオカミとイヌを比較すると、オオカミのOXT関連遺伝子はイヌのものと異なる遺伝的特徴を持つ。家畜化されていないネコ科およびネコで比較するため、OXT受容体遺伝子および(似た役割を持つ)バソプレシン(AVP)受容体のタンパク質翻訳領域および上流・下流領域を探索した。その結果、それぞれの遺伝子でネコでは複数の多型が見られた。 (研究2) ネコおよび家畜化されていないネコ科動物の遺伝子種間比較: 研究1での遺伝子を家畜化されていないネコ科動物とネコで比較した。ネコ科動物については、動物園からサンプルの提供を受けた。特にOXT受容体遺伝子の上流領域と、AVP受容体遺伝子のタンパク質翻訳領域で、ネコ特有の変異を確認した。さらに、同領域では、ネコ種内でも多型が確認された。 (研究3) ネコにおけるヒトへの社会性(慣れやすさ)の測定: 研究2でのネコ特有の変異の機能を推定するため、ネコ種内でも多型があることを利用して、ネコで対ヒト行動に関する行動実験や質問紙調査を実施し、関連分析を行った。その結果、OXT受容体遺伝子の上流領域の多型は、長いアレルを持つほど飼い主評定による「友好性」が高く、ネコは他のネコ科よりも長いアレルを保有していた。また、ネコでヒトが近づいたときに逃げない個体が持つAVP受容体遺伝子のタンパク質翻訳領域での多型は、家畜化されてない他のネコ科は持っていなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画どおりであるため。また、これまでの成果を国内学会において発表し発表賞が授与されるなど、外部からの評価が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度ではこれまでの結果を論文にまとめ、国際誌に発表することを目指す。また、ネコそのものだけでなく、飼い主(ヒト)も重要な要因ととらえ、飼い主側がペットとの関係に与える影響を検討する。また、ネコが持つ認知能力に焦点を当てた研究も行う。
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Research Products
(4 results)