2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J10484
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村岡 恒輝 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | ゼオライト / 有機構造規定剤 / 構造化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼオライトは、T原子 (T = Si, Alなど) とO原子から構成させるアルミノシリケート材料の総称であり、その水熱安定性と均一な細孔系、そして触媒特性から、広く工業的に利用されている。20世紀前半のゼオライトの人工合成以来、高性能な新規ゼオライトの開発に多くの研究資源が投下されてきている。ところがそのアプローチは、新世紀に入り10年余りが過ぎた現在でも、人手による試行錯誤に強く依存しており、今日の社会的要請に応えていくに十分な開発速度を有しているとは言いがたい。そこで、本研究は計算機支援による合理的なゼオライト合成法の確立を目指している。予め計算機によって設計された合成条件をもとに、狙ったゼオライトを戦略的に合成するというものである。 この最終目標を達成するため、これまでに、(1) 有機鋳型分子の設計 (2) ゼオライト合成の化学組成の予測、などの側面から取り組んできた。 有機鋳型分子の設計と評価に関しては、階層的に成長するゼオライト結晶の形態を、計算機化学の側面から合理的に説明することができた。成果は米国化学会のChemistry of Materials誌に掲載されている。化学組成の予測、原子位置の制御については、スーパーコンピューターを用いた大規模な理論計算を行うことによって、これまで経験則でしか捉えられていなかった構造と組成との間の関係性を見出した。本研究成果は米国化学会のJournal of the American Chemical Society誌に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
化学組成と有機鋳型分子という、ゼオライト合成における2つの重要な因子について、これまで経験的にしか捉えられていなかった知見を、実験と計算の2つの側面から合理化することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで適用してきた手法をアルミノシリケートだけでなく、他の組成の結晶にも応用することで、より一般性の高い知見を導くことを目指す。 研究を遂行する上での問題点は特にない。
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Research Products
(9 results)