2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16J10488
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
京野 秀紀 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 2次元重力 / ブラックホール / AdS/CFT対応 / 可積分変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず、前年度の研究に引き続き2次元ディラトン重力の研究を行なった。昨年度発表した論文で議論したsinh型のポテンシャルを持つ模型をさらに解析し、この模型にはLiouville模型を直積したような構造が背景にあることを発見した。その構造を元にして厳密解も構成することができた。また、物質場が入った場合も議論し、その場合についてもブラックホール解も構成することができた。これらの結果は論文にまとめ、[Nucl.Phys.B 923,126(2017)]として出版された。 また昨年度に国立台湾大のHeng-Yu Chen氏とEn-Jui Kuo氏と議論した測地線的Wittenダイアグラムについても解析を進め、測地線的WittenダイアグラムについてのMellin表示を明示的に導出した。そこで、Mellin空間ではWittenダイアグラムと測地線的ダイアグラムの違いがスペクトラム関数のみの違いとして現れることが明らかになった。また、外線の演算子がスピンを持つ場合にもWittenダイアグラムのMellin表示を導出した。外線の演算子がスピンを持つ場合は、AdS空間中の相互作用が一意的でなくなり、それに対応してCFTの相関関数にも同じ数だけのテンソル構造が現れる。我々はMellin空間で新しいパラメーターを導入して、これらのテンソル構造を自然に扱う方法を考案した。 11月にはスウェーデンの北欧理論物理学研究所(NORDITA)に二週間滞在し、現地の研究者らと可積分変形について議論をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初予定していたカオスにかかわる研究はあまり実施することができなかったが、昨年度に行った2次元dilaton重力の研究またはAdS空間中のダイアグラムの研究を推進することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が研究した2次元dilaton重力模型はAdS空間を解に持つような模型を変形したものであり、この模型には変形された対称性を持つ1次元の理論が対応していると考えられる。また、我々の模型にはブラックホール解も存在するため、 ブラックホール解があり、対応する理論にはカオス的な振る舞いが見られると思われる。また、今回見つかったLiouville模型を直積したような構造が1次元の理論ではどのように対応するのかも調べていきたい。 AdS空間中のダイアグラムに関しては、これまで我々が構成した測地線的ダイアグラムやMellin表示を、CFTを探るBootstrapと呼ばれる手法へ応用することを考えていくつもりである。
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