2016 Fiscal Year Annual Research Report
過疎地域の地域活性化と高校教育の役割の研究-地域系と呼ばれる高校教育の社会学-
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16J10590
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
樋田 有一郎 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 特別研究員(DC2) (50825023)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 人口減少 / 地方郡部 / 中山間地域 / 高校 / 地域活性化 / コーディネーター / 魅力化 / 地域課題解決型学習(CPBL) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人口減少時代の地方郡部(中山間地域)の高校の地域のあり方を分析することを目的とした。 平成28年度は、高校の地域資源を生かした教育の取り組みと、そうした高校の卒業生の卒業生の進路選択を分析した。 フィールドワークの結果、地方郡部で問題となっていたのは、高校卒業後に就職・進学のため地域から流出し、人口が減少し、地域社会の存続、高校の統廃合問題が生じていたことであった。学校規模の縮小は、学校の魅力の低下とさらなる入学者減を生んでいることが分かった(「過疎地の学校の負のスパイラル」)。 高校の取り組みについては、これまで、センター試験対策を中心として、卒業後大都市で生活していく上で必要な能力の獲得が主たる目的であったが、近年、将来地域社会で活躍することを主眼として、地域資源の利活用をする能力を身につけるための教育を行っていることが分かった。地域課題解決型学習(CPBL: Community Problem Based Learning)が導入され、地域の課題発見と地域で起業・就労する能力の習得を目指していた。 高校が地域資源を利活用する手段として、コーディネーターの導入を行っていた。コーディネーターは、その機能から、学校―地域橋渡し型、学校-町行政橋渡し型、学校-大都市橋渡し型、その出自から、地元で育った型、Uターン型、Iターン型が見られた。高校は、コーディネーターを機能毎に複数採用することで、高校と外部との資源の利活用のための橋渡しを戦略的に行っていた。さらに、地域が活性化のための方略として重要視する若者のソーシャル・キャピタル育成について、高校教育の取り組みの意義を検討するために地域資源を利活用したCPBLと高校生のソーシャル・キャピタルの育成について分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.調査の進捗 研究開始前までに、ラポールを形成したインフォーマントのコーディネートにより、円滑なフィールドエントリーに成功した。長期の滞在型のフィールドワークを複数箇所で行うことができた。数十名の対象者に対して、インタビューを行い、分析を行うのに充分なデータを集めることができた。 2.分析・発表の進捗 調査と平行して、データの分析及び知見の発表を行うことができた。複数の査読付き論文の執筆、査読付き国際学会を含む複数の会議での発表を行うことができた。特に、国際会議への参加・発表を通してアジア地域での高齢化・人口減少問題の先進国としての日本の課題を議論した。“Asia-Pacific Educational Research Association-Taiwan Education Research Association 2016(APERA-TERA 2016)“、“Comparative Education Society of Hong Kong (CESHK) 2016 Annual Conference” 、“BNU, KU, UCLIOE, & WU Academic Exchange program 2016, Roundtable”の3つの国際集会での発表、“Global Young Scientists Summit (GYSS) @one-north 2017”の参加を通して意見交換をするこが出来た。。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得られた視点をもとに、引き続き、調査地域でのフィールドワークを続けながらデータの分析を行う。本年度は、高校と地域に連携のキーとなるアクターであるコーディネーターの役割の精緻化、高校生の地理的な進路分化意識の分析を進めたい。さらに、地方郡部の人口問題を、日本の先進課題であると位置づけつつ、前年度の国際学会で得られた視点を下に、少子高齢化が予想されるアジア地域の問題と位置づけて国際比較を行いたいと考えている。
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Research Products
(9 results)