2017 Fiscal Year Annual Research Report
非常時の安定した通信環境を保障する通信網制御の研究
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16J10953
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田辺 和輝 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 非常時通信 / 待ち行列理論 / 受付制御方式 / 回線留保制御 / VoIP |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,地震や台風,テロ等の非常時における,回線交換網やSIPサーバ等の通話収容システムの輻輳を対象として,新たに一般通話の待時を許容することで更なる一般通話収容数向上を目的とした,回線留保制御手法を提案している. 提案方式では,IP電話網において呼制御を行うSIPサーバの余剰通信資源を用いて,一般通話の一定数の待機を許可する待時キューを新たに導入し,上述の通話収容システムをM1M2/M1D2/s/s,th+m待時式待ち行列システムとしてモデル化することで,計算機シミュレーションによる優先通話,一般通話それぞれの呼損率を導出可能としている.提案方式による計算機シミュレーションの結果および,待時キューを設定しない既存手法の結果との比較により,回線リソースに空きがない場合に到着した一般通話をすぐに呼損とするのではなく,待時キューに一時的に収容することで,優先通話における呼損率を要求値以下に保ちつつ,一般通話の呼損率をより低減可能であることを確認した.また,待時キュー長を変動させた計算機シミュレーションの結果,わずかなキュー長の待時キューの設置により,既存手法と比較して大きく一般通話呼損率を低減可能であるうえ,キューに収容されてから通話開始までの待ち時間が小さいことから,従来の即時式モデルよりも,短時間の待機によって確実に通話が可能となる安心感を一般通話ユーザに提供することが可能であることを示した. 本研究の成果は,2018年3月の電子情報通信学会情報ネットワーク研究会で発表済である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標である,提案受付制御方式の,一時的な通話要求の待機を許可する待時式モデルへの拡張を達成することができ,待機を許可しない即時モデルと比較して少量の待ちキューの追加により一般呼の収容数向上効果を示すことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度は,本年度の成果をさらに発展させ,査読有国際会議および論文誌への投稿を予定している.また,翌年度では,IP化された現在の通話網において,IPパケットの特性を考慮した,より現実的なモデルへの拡張を行い,更なる一般呼の収容数増大を実現する受付制御方式の検討を行う予定である.
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