2016 Fiscal Year Annual Research Report
生体内微小環境とのクロストークによる肥満細胞の新規腫瘍化メカニズムの解明
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16J10993
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
雨貝 陽介 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 肥満細胞 / cDNAライブラリ / 低酸素 / 腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は肥満細胞の腫瘍化において恒常的活性シグナルを送る因子の解析を進めると共に、腫瘍が生体内の厳しい環境においていかに環境適応を行うか、腫瘍の生存・増殖に重要と考えられる低酸素応答や代謝系に着目して解析することで腫瘍細胞の生存戦略を明らかにしようとするものである。 本年度は恒常的活性シグナル同定のためのアプローチとして、研究代表者が既に明らかにしている幹細胞因子の自己産生に着目してcDNAライブラリスクリーニング系を構築することを目指した。その結果、肥満細胞株からのcDNAライブラリ作製とともに、標的遺伝子のプロモータ領域下流に蛍光タンパク質遺伝子を組み込んだスクリーニング用細胞の樹立を完了し、次年度以降の恒常的活性シグナル因子スクリーニングに向けた基礎的技術を確立した。現在cDNAライブラリを発現させ蛍光タンパク質陽性となった細胞に組み込まれた遺伝子の同定を進めている。 細胞の生存戦略に関する解析では、次年度以降に必要な基礎的な情報集積をリアルタイムPCRやウエスタンブロットにより行った。その結果、複数の肥満細胞株において低酸素応答遺伝子をはじめとする遺伝子群の発現を高レベルで認めた。また、非腫瘍細胞を含む肥満細胞において広く外部刺激に対するストレス応答遺伝子群が強く誘導されることも明らかとなった。これらの結果は腫瘍化肥満細胞が様々な戦略を通じて体内で生存する可能性を示唆するものである。次年度以降これらの基礎的知見を基にそれぞれ詳細な解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画していたcDNAライブラリスクリーニング系の構築が予定通り進んだとともに、肥満細胞の生存戦略としての応答解析を進め次年度以降の研究の進捗の基礎となるデータ収集を予定通り実施できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りcDNAライブラリスクリーニングをさらに進めるとともに、生存応答解析についても詳細な解析を行う予定である。
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Research Products
(7 results)