2016 Fiscal Year Annual Research Report
援助行動が被援助者にネガティブな影響を及ぼす要因の解明
Project/Area Number |
16J11139
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河村 悠太 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 援助行動 / 利他行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は援助行動が被援助者にネガティブな影響を及ぼす要因として,援助の労力と利益認知の関連に着目した実験的検討を行った。当初の計画では援助者・被援助者双方を対象とする質問紙調査を計画していたが,まず援助者のみに焦点を当て,援助の際に労力をかけるほど,相手に与えられる利益を誤って高く予測するかを調べることで,計画書1年次に検討予定であった,援助行動が被援助者にネガティブな影響を及ぼす要因に繋がる結果を示した。 人は,しばしば自分の労力を犠牲にして他者のために行動する。直観的には他者に与えられる利益が第一の目的で,労力はその目的達成のために付随するものと考えられる。しかし先行研究では,人はしばしば利益とは無関係の労力を重視する可能性が示唆されている。その理由の一つとして,人は労力に基づいて利益を推測している可能性が考えられる。そこで今年度の研究では,労力をかけるほど相手の利益を高く見積もるようになるかを実験的に検討した。40人の大学生・大学院生を対象とした実験の結果,労力と利益の間にある正の関連を認識している参加者は,実際の利益は労力によって上昇しない場合でも,労力に基づいて利益を高く見積もるという傾向が見られた。 現実社会においては,しばしば受け手が喜ばない援助の存在が指摘されている。このような不適切な支援が生じる原因の一つとして,相手に与えられる利益予測が上手くいっていない可能性が考えられる。実際は労力をかけても利益が上昇しないときに,労力に基づいて利益を予測することは,不正確な利益予測を導きうる。今年度の研究は,このような不適切な援助が生じるメカニズムの解明につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初から一部計画を修正したものの,計画立案,実験,分析,考察と一通りの検討を行うことができている。また,精力的に国内・国際学会において発表を行っている。以上の進捗具合から、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度にひきつづき、援助行動が被援助者にネガティブな影響をもたらす要因を,調査・実験的手法を組み合わせて検証する。また, 本年度行った研究に関し精力的に研究発表を行うとともに,国内・国際誌において報告する予定である。
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[Presentation] Relationships between mindfulness and empathy2016
Author(s)
Himichi, T., Osanai, H., Goto, T., Fujita, H., Kawamura, Y., & Nomura, M.
Organizer
The 31st International Congress of Psychology
Place of Presentation
Yokohama
Year and Date
2016-07-24 – 2016-07-29
Int'l Joint Research