2016 Fiscal Year Annual Research Report
オメガ3脂肪酸作用機序に注目した子どもの発達障害に関する疫学研究
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16J11423
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
谷 友香子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 妊婦 / 脂肪酸 / 食事 / 子ども / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児の発達障害は日欧米で急増が見られ、国内でも児童の約6%に高次機能自閉症、注意欠陥多動性障害、学習障害のいずれかの軽度発達障害があると推定されている。増加の原因は遺伝要因では説明がつかず、環境要因が主要であると考えられているが、妊婦の栄養素摂取と子どもの発達障害に関する科学的根拠は世界的にも乏しい。妊婦に必要な栄養素を特定し、適切な摂取量を明らかにすることは栄養疫学および予防医学の観点から重要課題である。本研究は妊婦が食事から摂取するオメガ3脂肪酸をはじめとした脂肪酸が子どもの発達障害の発症にどのように関連しているかを、現在進行中である成育母子コホート調査を用いて明らかにすることを目的としている。平成28年度は解析に用いるデータの整備と文献レビューを行った。データ整備は成育母子コホート調査データで得られた妊婦の質問票、妊娠中の初期と中後期に行った食事調査、血液データおよび追跡調査が終了した子どもの質問票、血液および健診データのクリーニング(欠損値や異常値の確認と修正)を行い、それぞれを連結した約2000人分のデータを作成した。脂肪酸摂取と子どもの自閉症との関連について先行研究のレビューを行い、国際誌に論文を発表した。レビューを行った時点では、母親の食事からの脂肪酸摂取と子どもの自閉症との関連を報告した先行論文は1本だけであり、妊娠前および妊娠中の食事からの高度不飽和脂肪酸の摂取と子どもの自閉症リスクとの関連が報告されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
母子コホートデータは複数の質問票に加え、食事調査や生体指標を含み、調査時期も複数に渡るためデータの構造が複雑で作成に時間を要したが、解析に進めるデータを作成することができた。脂肪酸摂取と子どもの自閉症との関連について先行研究のレビューを行い、国際誌に論文を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は妊婦を対象に行った食物摂取頻度票から妊娠中の総オメガ3脂肪酸、総オメガ6脂肪酸、αリノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノレン酸、アラキドン酸などの多価不飽和脂肪酸摂取量を算出し、その母親から産まれた子どもの炎症マーカーや炎症反応が影響を及ぼす疾患との関連を解析し、国際誌に論文を発表したいと考えている。
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