2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J40109
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中嶋 裕子 浜松医科大学, 医学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2021-03-31
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Keywords | 質量顕微鏡 / マイクロRNA / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、組織中におけるmiRNAの局在・分布を質量顕微鏡により可視化することを目的とする。具体的には、網羅的な解析により、既知のmiRNAに加えて、これまで不可能であった未 知の配列のmiRNAや修飾を受けたmiRNAの局在も調べる。miRNAの生物学的なプロファイルを作 成し、創薬・治療法へ役立てることを目指す。 今年度は、まず、5月に新たに導入された質量顕微鏡の基本的な測定技術を習得した。受託合成にて入手した標品のRNAを用いて、質量顕微鏡でのRNAの検出感度について調べ、内在性のマイクロRNAを検出可能か調べた。その結果として、検出感度は、内在性のmiRNAの存在量の10倍程度高く、原理的には、検出可能であることがわかった。しかしながら、組織切片には、検出目的のRNAよりもイオン化しやすい物 質(主にリン脂質)が多く含まれており、洗浄することで除く必要がある。RNAは、水溶性の 分子であるため、洗浄には、有機溶媒が適していると考えられた。有機溶媒は、エタノール、クロロホルム、ヘキサン、キシレンを用いた。検出目的としているmiRNAは、分子量6000~9000程度であるが、同程度の 分子量のアミノ酸やタンパク質がmiRNAのイオン化の妨げになることも考えられた。そのため 、Proteinase K処理をし、タンパク質を分解して取り除いた。検出に適するマトリックスは、標品のRNAで検討したところ、HPAが最もイオン強度が高く検出できた。有機溶媒による洗浄、ProK処理を行った組織切片を用いて質量分析を試みたが、マイクロRNAのシグナルは、検出できなかった。核酸の検出には、脱塩も重要な要素となることから、来年度以降は、脱塩の方法も検討し、またより強い条件での組織切片の洗浄を行い、検出を検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しく導入された質量顕微鏡装置の基本測定技術を習得し、RNA標準サンプルの検出感度を調べることができた。また、組織切片を用いた検討にも着手し始めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
組織切片は、RNA以外にも多種多様な分子が含まれているため、イオンサプレッションを軽減させるためには、できる限り取り除くことが必要となる。また、脱塩も核酸を検出する上で非常に重要な要素であると考えられる。そのため、今後の方策としては、切片の洗浄方法を中心に検討を進め、マトリックスの塗布方法なども検討する。また、MALDI-MSだけではなく、最近導入されたDESI-MSの利用も検討したい。
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Research Products
(2 results)