2019 Fiscal Year Annual Research Report
絶滅危惧種アカウミガメの行動可塑性が高い性格に着目した生息外保全手法に関する研究
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16J40115
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 宏美 東京大学, 大気海洋研究所, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 行動可塑性 / 行動シンドローム / 性格 / アオウミガメ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、アオウミガメの亜成体を対象に大分県はざこネイチャーセンターが所有する野外水槽で実験を行った。平成29年度に設定した刺激を用いて刺激提示実験を行い、一貫性を確認した後性格を特定し、行動可塑性を調べた。また、2種類の性格次元の行動反応性から行動シンドロームの有無を調べ、行動可塑性との関連性を調べた。その結果、行動シンドロームを示さない集団では、性格が大胆で探索性の高い個体に偏り、行動可塑性が高かった。一方、行動シンドロームを示す集団は性格に偏りがなく、行動可塑性が低いことがわかった。最後に、行動シンドロームを示さない個体と行動シンドロームを示す個体を追跡した。その結果、行動シンドロームを示さない個体の移動距離は長く、行動シンドロームを示す個体の移動距離は短かった。これらのことから、行動可塑性の高い個体は、行動シンドロームを示さない傾向があり、行動シンドロームには生息圏のサイズが関連している可能性が示唆された。また、大分周辺では行動シンドロームを示す行動可塑性の低い個体と行動シンドロームを示さない行動可塑性の高い個体が生息していたことから、これまでの生息環境の履歴が異なる二つの集団が大分に来遊している可能性が示唆された。この二つの集団の遺伝的由来は同じであることから、遺伝より経験が性格や行動シンドロームに反映されていた可能性がある。さらに、本研究で計測した性格を示す行動が、多くの脊椎動物で示されている脳内伝達物質を介して発現しているか確認するために、投薬操作実験を行い、セロトニン量の変化に応じて臆病な個体の性格が変化することが示された。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)