2017 Fiscal Year Annual Research Report
偶蹄類二種の密度依存的ハビタット選択および共存機構の解明
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16J40126
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山城 明日香 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学領域), 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | カモシカ / シカ / DNAバーコーディング / 種間競争 / 食性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、四国に生息するカモシカの減少要因を明らかにすることを目的として、カモシカとシカとの種間関係に着目し、糞DNAバーコーディングを用いた2種の食性の比較を行った。調査地は、徳島県神山町(2サイト)、つるぎ町、三加茂町の計4サイトで行った。2017年11月、2018年7月と11月の3回、カモシカとシカの新糞の採集を行った。採集した糞は実験室に持ち帰り、DNAを用いて種と性別の判定を行った。また、糞96サンプルについて葉緑体DNA trnL P6loop領域をPCR増幅し、次世代シーケンサーを用いて塩基配列を解読し、データベースと照合し植物の同定を行った。植物の科レベルでは全体の78.1%を特定することができた。カモシカでは平均63.2科、シカでは平均65.7科が特定でき、2種間および季節間で有意差は見られなかった。カモシカとシカの餌の重複率を求めた結果、夏に0.67±0.04、冬に0.66±0.12と2種間で有意差は見られなかった。本研究で解析した遺伝子領域は200bp 以下と非常に短い配列であったが、科レベルで全体の78.1%を特定することができた。前年度に行った糞分析によるカモシカとシカの食性の比較研究では、カモシカとシカの食性は一年を通して 双子葉植物を主に採食するブラウザー型であった。本研究の2種の科レベルでの食性の解析の結果でも、イネ科やカヤツリグサ科の出現は少なく、2種ともブラウザー的な食性の特徴を示し、これまでの研究と一致した。しかし、本研究では科レベルで比較でき、より詳細に2種の食性について明らかにすることができた。同じ調査地内で季節的な餌の構成は2種ともに異なっていたが、2種間で非常に高い餌の重複が見られた(夏:0.67、冬:0.66)。高い餌の重複率は、2種間で餌をめぐる高い競争関係にあることを提案する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
カモシカとシカの糞DNAを用いた解析では96サンプルについて解析でき予想以上に研究が進展することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、糞DNAバーコーディングの解析結果について2種の雌雄に着目してサイト間、季節間、種間の比較を行う。また、カメラトラップの解析データを合わせ、ハビタット内での空間的な利用の違いを明らかにする。
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