2016 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄における抑制性GABA及びグリシンシナプスの形成と運動機能の発達
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16J40160
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
清水 千草 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | GABA / グリシン |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄における抑制性GABA及びグリシンシナプス形成過程の形態学的手法を用いて研究を行い、発達期の脊髄、特に運動出力を担う前角において、運動機能の発達に必要なGABAやグリシンシナプスがどのように形成され、抑制性に働くようになるのか、GABAの生合成酵素であるグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)、GABAやグリシンをシナプス小胞に充填するトランスポーターである(VGAT)、グリシンを神経終末に取り込むグリシントランスポーターである(GlyT2)について免疫組織化学法を行い、明らかにした。 運動機能を司る脊髄前角において、GADは胎齢14日には既に発現していたが、GlyT2免疫陽性反応(グリシン作動性終末)は遅れて胎齢16に発現し、以後発現が増加した。生後7日齢まではGAD陽性終末(GABA作動性終末)が優位で、GlyT2はGABA作動性終末に局在していた。2 週目以降GABA作動性終末は急激に消退しグリシン作動性終末が優位となった。GAD及びVGAT、GlyT2の発現は、発達とともに脊髄前角から、後角へと広がっていくことがわかった。 脊髄後角では、グリシン作動性終末は生後0日齢に第IV層に、生後7日齢に第III層に局在し、以降増加していった。GlyT2は前角同様GAD陽性の終末に局在し、生後21日齢ではGABAとグリシンの共存する終末が優位であった。 これらのことから、抑制性GABA及びグリシン神経終末の形成は以下のように進行することが示唆された。(1) GABA作動性終末が最初に形成される。(2) GlyT2がGABA作動性終末に局在し、やがて、灰白質全体でGABAとグリシンが共存する終末となる。(3)前角においては、GABA及びグリシン共存終末がグリシン終末に変化する。(4)後角では、GABA及びグリシン共存終末が残存する。上記研究成果はNeuroscience誌に受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、抑制性GABA及びグリシンシナプス形成過程について形態学的手法を用いた研究を精力的に行った。その結果、脊髄におけるGABA作動性神経が初めに形成され、その後グリシン作動性神経が共存し、運動情報の出力を司る前角では、GABA作動性神経からグリシン作動性神経へ優位となる神経終末の変化があることがわかった。上記の研究成果は、論文としてNeuroscience誌(Sunagawa M, Shimizu-Okabe C, Kim J, Kobayashi S, Kosaka Y, Yanagawa Y, Matsushita M, Okabe A, Takayama C.:Distinct development of the glycinergic terminals in the ventral and dorsal horns of the mouse cervical spinal cord. Neuroscience. 2017 Feb 20;343:459-471)に受理された。このことから、研究進捗状況はおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄スライスの作成および電器生理学的方法の準備は整っている。形態学的方法により本年度得られた結果をもとに、脊髄におけるGABAやグリシンの放出及び抑制性神経伝達物質の応答性などについて検討を行う。
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Research Products
(10 results)