2016 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞の網羅的遺伝子発現プロファイルの統合解析による乳がん組織不均一性の解明
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16J40231
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
富永 香菜 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / 1細胞解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、乳がんを対象としてがん幹細胞をヒエラルキーの頂点としたがん組織の多様性、可塑性の実態の解明を目的とし、乳がん臨床検体を用いて1細胞レベルで網羅的な解析を行う。さらに、解析過程でがん幹細胞維持の鍵となる分子を同定し、がん幹細胞特異的に発現しているタンパク(がん幹細胞マーカー)や、がん治療薬の開発につながる分子標的を見出すことも視野に入れて研究を遂行している。 採用1年目では、乳がん臨床検体から極少数しか存在しないがん幹細胞を多く取得する方法を検討した。共同研究先の東大医科学研究所にてすでに収集済みの乳がん臨床検体1例(ER-/Prg-/HER2-;トリプルネガティブ)を免疫不全マウスに移植しPDXを作製した。組織片移植約2ヶ月経過後にできた腫瘍から組織粉砕と酵素処理によりがん細胞を単離し、EGF、basic FGF、B27を含む無血清培地中で培養を行った。培養1週間後、100μm以上の細胞塊(スフェア)が複数観察されることを顕微鏡下で確認した。フィルター処理によりスフェアのみを取得し、酵素処理により細胞を分散した後、がん幹細胞マーカーをフローサイトメトリーにて解析した。その結果、接着細胞と比較して、スフェアの方ががん幹細胞様細胞が濃縮されることを確認した。以上の結果を踏まえて、今後は臨床検体のスフェア培養によりがん幹細胞を濃縮させた後、フローサイトメトリーにてがん幹細胞様細胞と非がん幹細胞に分けて1細胞解析を行い、RNA-seqによりがん幹細胞様細胞に特徴的な遺伝子発現を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに生体外で細胞単離し培養することが困難な乳がん臨床検体でスフェアアッセイやマウスへ移植するpatient-derived xenograft(PDX)の系を立ち上げた。1細胞解析を行うための条件検討として腫瘍から取り出した細胞の内数%しか存在しないがん幹細胞をできるだけ多く確保する方法を確立や、生細胞のまま細胞を解析できる条件の検討に時間を要したが、おおむね順調に研究が進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、国立がん研究センター研究所にてC1 single cell-prep system(Fluidigm)を用いた1細胞解析を行う予定にしている。予定では、C1にて96個の単一細胞を分離した後、逆転写、完全長cDNA合成、増幅まで行う。PicogreenによるcDNA濃度を測定後、酵素処理によるDNA断片化とシーケンスアダプター付加によるRNAライブラリーを作製する。磁気ビーズによりDNA精製を行い、Agilent 2100 バイオアナライザにより生成したDNAの品質チェックを行う。 サンプルは次世代シーケンサーを用いてRNA-seqを行う予定である。さらに、得られたデータの解析に取り組むのと並行して、上記と同様の手法を用いて別の検体(少なくとももう1検体)の解析も予定している。
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[Journal Article] An autocrine/paracrine circuit of growth differentiation factor (GDF) 15 has a role for maintenance of breast cancer stem-like cells.2017
Author(s)
Sasahara A., Tominaga K., Nishimura T., Yano M., Kiyokawa E., Noguchi M., Noguchi M., Kanauchi H., Ogawa T., Minato H., Tada K., Seto Y., Tojo A. and Gotoh N.
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 8
Pages: 24869-24881
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Addiction to the IGF2-ID1-IGF2 circuit for maintenance of the breast cancer stem-like cells.2017
Author(s)
Tominaga K., Shimamura T., Kimura N., Murayama T., Matsubara D., Kanauchi K., Niida A., Shimizu S., Nishioka K., Tsuji E., Yano M., Sugano S., Shimono Y., Ishii H, Saya H., Mori M., Akashi K., Tada K., Ogawa T., Tojo A., Miyano S. and Gotoh N.
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Journal Title
Oncogene
Volume: 36
Pages: 1276-1286
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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