2019 Fiscal Year Annual Research Report
肝炎ウイルスの適応進化メカニズム解明と新規抗ウイルス剤開発への応用
Project/Area Number |
16J40232
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
竹内(柴田) 潤子 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 特別研究員(RPD) (80647488)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2020-03-31
|
Keywords | B型肝炎ウイルス / NTCP / 共進化 / dN/dS / positive selection / 受容体 / トランスポーター / ヘパドナウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨今、COVID-19やエボラ出血熱のような動物を起源とする新興感染症が世界的脅威となっている。生命誕生以降、ウイルスと宿主は、時に宿主域を越え、進化の過程で攻防を繰り広げてきた。B型肝炎ウイルス(HBV)もその例外ではない。HBVおよびその近縁ウイルス(ヘパドナウイルス)の感染は、哺乳類以外に、鳥類・爬虫類・両生類・魚類で報告され、ウイルスと宿主の共進化の歴史は数億年にも及ぶと推定される。しかしながら、①宿主がどうヘパドナウイルスから逃れて進化したか、②ヘパドナウイルスがどのように宿主に適応したかは不明である。我々は①、②について検証することを目的に、ウイルス粒子と直接相互作用するHBV感染受容体、sodium taurocholate cotransporting polypeptide (NTCP)に着目した。 NTCPは肝臓での胆汁酸取り込み輸送体であるとともに、HBVの感染受容体としても機能する。本研究では進化系統学的手法を用いることで、NTCP各サイトの進化速度を解析した。NTCPは哺乳類全体で進化的に保存されており、これは、NTCPが宿主の生存にとって重要であるとする過去の報告と一致した。一方で、進化速度が速い部位も複数検出され、その中で158番目のアミノ酸がヒト-旧世界ザル間でのHBV感染感受性の違いを規定していることをウイルス学的な実験により明らかにした。生化学的実験では、HBV非感受性型NTCP(158R)はHBV感受性型(158G)に比べ、胆汁酸取り込み活性が低いことが示された。これは、多くの霊長類がHBV感受性型NTCP(158G)を保持することを説明しているかもしれない。 本研究は、HBVおよびその関連ウイルス(ヘパドナウイルス)がNTCP進化の選択圧となっていた可能性を示唆する初めての報告である。
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(4 results)