2018 Fiscal Year Research-status Report
Geometric Algebraを核とする折紙計算論の展開
Project/Area Number |
16K00008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
井田 哲雄 筑波大学, システム情報系(名誉教授), 名誉教授 (70100047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Ghourabi Fadoua お茶の水女子大学, 理学部, 学部教育研究協力員 (30709324)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 計算折紙 / geometric algebra / 折紙定理証明 / 立体折紙 / 折紙の形式化 / 記号計算 / 計算幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,これまで15年以上をかけて開発を続けてきた計算折紙システムEOS(E-origami System)に,N次元空間折紙の理論を組み込む作業を開始した.通常の折紙では3次元までしか扱わないので,3次元立体の処理を念頭に置きつつ,N次元への一般化を許すような設計を進めている. N次元空間折紙は,EOS内部では,最終的にはN次元Geometric Algebraでの操作に帰着される. 平成30年度におけるこの一連の研究活動には, EOSの核となる1万5000行を越えるMathematicaのコードを見なおし,折紙カリキュラスの再定義など,多くの困難な研究課題の解決を必要とした.研究成果には,不明確であった,Eosエンジンの理論的側面が厳密化されたことが主要である.また,従来の枠組においてO6と呼ばれる折り方規則が,他の6つの規則を包含することの詳細な証明も得られたこともその副産物とも言える.EOSの見直しには, EOSとの対話に用いる言語ORIKOTOの構文の拡張や意味論の整理などの研究のベースとなる部分の再実装も必要となり,これを実現した.実装されたEOSの体系の記述は必要不可欠であり,技術ドキュメントの作成も鋭意進めた.技術ドキュメントの多くの部分は,計算折紙序説としての役割を果たすように配慮した.これらのドキェントハは令和元年にモノグラフとして刊行する準備がほぼ完了している.分量は英文で200ページを超している.平成30年度研究活動全体を振り返ってみると,技術ドキュメントの作成が最も優先度が高く,多くの研究時間を要した.このため,,他の研究サブテーマの組織的な活動は限定的になった.研究発表については,主要な研究発表を令和元年に計画し直したため,平成30年度は行わなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
数理折紙の文献の調査に要する時間,開発技術ドキュメントの整理やモノグラフとしての発刊の準備に多大な時間を要したこと,開発者以外の計算折紙研究者に資料として,また,計算幾何学の参考書として,広く学生や研究者にアクセス可能な例題集の作成などに時間を要した.本研究自体は3年目であるが,研究のベースとなるシステムや理論は多大な蓄積があり,これを見なおしながら,少人数で研究を進めるため,研究の推進には,想定以上の時間を要することになっている.しかし,問題点は,次々に解明されてきており,推進自体が困難であることはない.
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Strategy for Future Research Activity |
N次元空間折紙の理論の展開とGeometric AlgebraのEOSへの適応,EOSの改良に同時に取り込むことは,前3年度と同様である.平成30年度はEOSの見直しや技術ドキュメントの整備を中心として,本格的な実装にまでは至らなかった.今後の予定は(1) N次元Geometric Algebraを言語Mathematicaでの実装,(2)N次元 Geometric Algebraを実際の例に適応し,定理証明の特性の比較検討(3)EOSのカーネルを構成するカリキュラスのN次元 Geometric Algebraへの対応を中心として,当初から予定していた研究課題を特に変更することなく,推進していく予定である.
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Causes of Carryover |
(1)研究で利用しているコンピュータの周辺機器が研究機器としての耐用年数に近づいているので,補修等の予算を計上してあったが,年度中はハードウェアが十分に機能したため,更新の必要がなかった.(2)システムのクラウド化が想定以上に急速に進み,ソフトウェアの個別購入等の件数が減り.一方,ソフトウェアの適当な期間ごとのレンタル費用が発生している.しかし,全体として,研究に必要なソフトウェアの費用の軽減になっている.繰越額は,最新のノートブックパソコンの購入費用の一部に充てる予定である.
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Research Products
(1 results)