2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K00018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
角川 裕次 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (80253110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増澤 利光 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (50199692)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分散アルゴリズム / 分散相互包含排除 / 自己安定分散システム / モバイルエージェント / センサネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である, サーバ, PC, スマートフォン,無線センサネットワーク, IoT など, 様々な要素で構成される膨大な規模の分散システム(コンピュータネットワーク)を対象として,プロセス(ノード)間の相互作用のパターンを構成する分散アルゴリズム構造の研究を進めてきた. 特に, 各プロセスが得られる情報が局所的に限定されている場合や,相互作用が局所的に限定される元で大局的な性質を保証する手法などの研究を進めている.
本研究課題および研究成果の特徴は,ネットワーク全体の情報をある一ヶ所のコンピュータ1台に集めて計算を行なうのではなく,ネットワークを構成している各要素が互いに協調しながらネットワークの部分的な情報のみに基づいて動作するところにある. これは巨大化した分散システムにおいて非常に重要なシステム制御手法である. なぜなら,ネットワーク全体の情報は膨大であり,一ヶ所のコンピュータ1台に集めるには通信量やメモリ量の観点で実現が困難であり, また情報を集めるのに要する時間も無視できない. しかし本研究では, 分散システムの制御を分散解法により実現することで,巨大化する分散システムの制御を目指している.
具体的な研究成果は以下の通りである.【1. 分散相互包含排除問題に対する分散解法.】【2. ネットワーク構成問題に対する故障耐性の優れた分散解法.】【3. モバイルエージェントを用いた分散協調問題への解法.】【4. 無線センサネットワークにおける無線給電によるバッテリ充電問題への解法.】 以上の成果は, 学術論文誌, 国際会議, 研究会, ワークショップにて発表し,また一部については発表の準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的な成果は以下の通りである. 【1. 分散相互包含排除問題に対する分散解法.】前年度にひきつづき分散プロセス同期機構のアルゴリズムの開発を行い, 分散相互包含排除の一般化問題に対して2種類のアルゴリズムを提案した.ひとつは包含排除の制約が分散システムで均一の設定,他方は非均一の設定の問題に対するアルゴリズムである. 【2. ネットワーク構成問題に対する故障耐性の優れた分散解法.】ネットワークの疎な部分構造を構成する問題のひとつである,支配集合問題について取り組んだ. 従来にいくつかの支配集合問題に対する一般化問題が研究されているが, 本研究では更なる一般化である一般化支配集合問題を新たに提案して, 故障耐性に優れた自己安定性を有する分散アルゴリズムを提案した. 【3. モバイルエージェントを用いた分散協調問題への解法.】モバイルエージェント群をネットワーク上に均一に分散配置させる問題への解法,モバイルエージェント群をグループの大きさが一定数以上となるように集合させる問題への解法,メッセージ伝達モデル分散アルゴリズムの実行をモバイルエージェントにより模倣する手法,などを新たに提案した. 【4. 無線センサネットワークにおける無線給電によるバッテリ充電問題への解法.】今年度に新たに開始した研究課題である.近年は無線給電によるバッテリ充電技術が進展しつつあり, この技術を無線センサネットワークのノードへのバッテリ充電に適用する際に効率の良い充電スケジュールを行なう分散アルゴリズムを開発した.
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Strategy for Future Research Activity |
【1. 分散相互包含排除問題に対する分散解法.】これまでは自己安定性を有しない分散相互排除アルゴリズムと分散相互包含アルゴリズムの合成手法は実現できたが,自己安定性を有する場合ではまだ合成手法は実現できていない. 今後はこの実現を目指す. また分散相互包含排除問題のクラスにおいて問題間の還元可能性についても考察し, 同期機構の万能性に関して調査を進めたい. 【2. ネットワーク構成問題に対する故障耐性の優れた分散解法.】これまでは直接隣接するノード間での支配関係に基づくネットワークの疎な部分構造を考えていたが, これをさらに一般化して,数ホップ先のノードまでも考慮した支配関係での疎な部分構造を求める問題を考察する. 【3. モバイルエージェントを用いた分散協調問題への解法.】モバイルエージェントを用いた集合問題で, より一般的なネットワークトポロジを対象した課題に取り組む. これまではリングや木などの特定の形状のネットワークを対象としていたが, さらに一般的な設定で考察をし,問題が解ける条件を精密に分析してゆく. 【4. 無線センサネットワークにおける無線給電によるバッテリ充電問題への解法.】様々なネットワークを対象とし, さらに様々な分散アルゴリズムを考案して,特に物理的な性質を精密に反映したシミュレーションモデルを構築し, 評価実験を実施する.
当初に計画していた局所分散アルゴリズムに関する研究について,一定の成果は得て学会の研究会にて発表を行なった. しかし本研究課題で計画していた内容と類似した内容を,他研究グループが僅かに早く発表していることがその後に判明した. そのため課題設定自体は優れていたが先取性の観点で優位に立つことは困難と判断し、局所分散アルゴリズムに関する研究は一時休止にした。しかし優位に立てる可能性のある課題設定の検討は継続するが、その間には他の課題に注力をする.
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Causes of Carryover |
今年度は概ね当初計画どおりの予算執行が行なえた. 残額はわずかなので, 次年度での出張旅費へ追加して使用したい.
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[Presentation] Group exploration of dynamic tori2018
Author(s)
suyoshi Gotoh, Yuichi Sudo, Fukuhito Ooshita, Hirotsugu Kakugawa and Toshimitsu Masuzawa
Organizer
The 38th IEEE International Conference on Distributed Computing Systems (ICDCS)
Int'l Joint Research
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