2019 Fiscal Year Research-status Report
計算量クラスの階層定理の証明と論理合成システムの新評価法の確立
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16K00020
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩本 宙造 広島大学, 工学研究科, 教授 (60274495)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 計算の複雑さ |
Outline of Annual Research Achievements |
n変数の関数f(x1,x2,...,xn)に対して,素子数nの3乗の回路を設計したとする.はたして,良い回路が設計できたかどうかは,どのように評価すれば良いだろうか.たとえば,任意の微小な定数ε>0に対して,素子数nの(3-ε)乗の如何なる回路でも関数fは計算できないといった最適性が,理論的に証明できればいいのだが,その証明は非常に難しいことが知られている.さらに言えば,任意の有理数r>1に対して,素子数nのr乗の回路で計算できるが,素子数nの(rーε)乗の回路では計算できないという具体的な関数fが実際に存在するか否かさえも分かっていないのである.本研究の第一の目的は,問題を解くのに必要となる計算時間や記憶領域量などの計算資源量に基づく計算複雑性クラスの間の包含関係や,クラス間の階層性を明らかにすることである.そして,クラス間に存在する真に難しい関数を人工的に作成し,システム評価に役立てる. 2019年度は,4つの組合せ問題について,それらの計算複雑性を調査した.その結果,Kurotto, Jousan, Herugolf, Makaro問題それぞれのNP困難性を証明できた.これらの結果は,カナダ・アルバータ大学で開催された国際会議31st Canadian Conference on Computational Geometryや,国際ジャーナルIEICE Transactions on Information and Systemsに採択された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4つの組合せ問題に対して,計算複雑性を解明できた.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度も,より実用的な問題に対して計算複雑性を解明し,計算量クラス間の包含関係や階層性を証明する.
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Causes of Carryover |
参加予定の国際会議が,新型コロナウイルスのために中止になり,旅費が余った.投稿先を国内に変更し,旅費として使用します.
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