2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00022
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
但馬 康宏 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (00334467)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 形式文法 / 不完全情報ゲーム / テキストの理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は生成モデルや識別モデルのもとで考えられている統計的な学習手法を文法推論のアルゴリズムの中に取り込むことにより、実問題において有益な文法推論アルゴリズムを開発することを主目的としている。形式文法を最終的な学習対象とすることにより従来よりも構造的なデータを取り扱うことができるため、機械学習研究全体における発展につながる。そこで、既存の文法推論アルゴリズムにおいて、統計的学習手法を利用可能な部分がどこであるかを改めて洗い出す必要がある。そのため文法推論アルゴリズムにおける、生成規則の作成、仮説の生成の2つの過程において利用可能性であるかを知る必要がある。この問題に対して、本年度はコンピュータ大貧民におけるヒューリスティックなプレイアルゴリズムに対して適用可能性を探った。まずはじめに、多人数不完全情報ゲームである大貧民についてヒューリスティックなアルゴリズムを構築し、手の流れを解析する手助けとした。この分類のゲームは多くのトランプゲームを含み、なじみ深い分類にも関わらずコンピュータにプレイさせる際の効果的な実装手法が知られていない。本研究ではコンピュータ大貧民を題材にヒューリスティックによる着手選択手法を考案し、その効果を実験的に検証した。考案したヒューリスティック戦略は現在主流のモンテカルロ探索を用いたプログラムに近い強さである。評価実験の結果、場を流す見極めが重要であることがわかった。さらに、リード時には手札のタイプの多様さを保存することも重要であることが明らかとなった。今後はこの解析結果からゲームの流れを記述する文法生成を行うことが課題となる。また、料理レシピも全体としてひとつの意味を成す系列データであるが、これらの解析も行い、本研究の適用可能性を探った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の主題である形式文法の学習アルゴリズムへの適用は達成できず,適用可能性のあるデータの分析でとどまっている点があげられる.しかし,不完全情報ゲームおよび料理レシピについて強力な分析手法を開発できたため,今後の進展に有効であると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
既存の文法推論アルゴリズムにおいて、統計的学習手法を利用可能な部分がどこであるかを改めて洗い出す。研究目的で述べたように本研究では「例に矛盾のない生成規則の中から最適な規則を絞り込む」ことに対して統計学習手法を利用する。そのため文法推論アルゴリズムにおける(1)生成規則の作成(2)仮説の生成の2つの過程において利用可能性がある。合わせて統計的学習手法を実装しているツール類の調査を行う。これは後の課題である自然言語処理への応用への準備である。 また、文法推論における識別モデルの定義を行う。識別モデルを用いた学習、特にSVMでは、マージン最大化原理が効果的な学習の要因となっている。これはサンプルどうしの距離が測れ、かつサンプルの存在しない点においても表現力のある仮説を利用することが前提となっている。文法表現においてこのような前提をすべて満たす要素は無いと思われるが、二つの矛盾のない生成規則をサンプル文字列以外の評価要素、例えば利用される頻度などで区別することは可能である。その区別の仕方を定義、および特徴を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況がアルゴリズムの適用可能性の検証にとどまったため、計算機設備などの機器類の購入が後回しにできたため。より性能の良い機器を必要な時期に購入するほうが効果的であるため次年度時利用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計算機の購入および発表旅費への充当である。
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