2019 Fiscal Year Research-status Report
複雑な制約下での離散資源配分問題:離散凸解析を武器としての探求
Project/Area Number |
16K00023
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田村 明久 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (50217189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野寺 隆 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 名誉教授 (50156212)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 離散資源配分問題 / 離散凸関数 / 離散構造 / 離散最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,離散凸解析という良い離散構造をもつ枠組みを武器として,離散的な配分においてプレイヤーが複数存在する状況下で,プレイヤー全体やその部分集合が設定する複雑な制約を満たしつつ,個々のプレイヤーが満足する配分とは何かという解概念とそれを求めるアルゴリズムを研究し,現実問題へフィードバックすることを目的としている. 昨年度の学術雑誌に投稿していた論文「Integrality of Subgradients and Biconjugates of Integrally Convex Functions」が掲載された. 平成29年度から取り組んだ「離散凸解析の強化」というテーマの研究において,離散中点凸性の新たな概念(有向離散中点凸性)を提案し,これに関する研究を進めた.既に掲載された研究成果である「Discrete midpoint convexity(離散中点凸性)」で提案した離散凸関数は近接定理等の様々な良い性質を満たすことを示したが,2分離凸関数とは独立な概念であるなど応用面で使いづらい点があった.新たに提案した有向離散中点凸性は離散中点凸性とは独立な概念ではあるが,離散中点凸関数が満たすほぼすべての性質を満たし,さらには2分離凸関数を含むクラスであり,2次凸関数においては優対角性で特徴付けられるなど,新たな性質を満たすことを示した.さらに最急降下法を用いたアルゴリズムにおいても近傍探索で改善される点があることを示すことができた.これらの研究成果をまとめ,学術雑誌に投稿し,掲載確定を得ている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学術雑誌に投稿していた論文も掲載となり,離散凸解析の強化についても新たな離散中点凸性の概念を提案し,非常に良い性質を満たすことを示した.応用展開について期待できる概念である.また現実問題へのフィードバックについても作成したソフトウエアの利用が継続中である.しかし家族の不幸もあり最終年度にやり残したテーマがあり,期間延長をして研究を完遂することになった状況を鑑み,やや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度については,研究の余地が残っている(テーマ1c)「3つのM#凹関数を用いたモデルに対する完全なアルゴリズムの構築」,(テーマ1d)「M#凹関数 を用いたモデル に対する代替性への拡張」,(テーマ4)「他の離散資源配分問題への適用」について研究を進める.
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Causes of Carryover |
入院していた父が5月に亡くなり看病,葬儀のため研究発表会への参加を幾つか見合わせたこと,2020年になってからはCOVID-19の感染拡大により,研究発表会の中止や招聘の取りやめなどがあったため,かなりの額が次年度使用額となってしまった. COVID-19の感染拡大の状況が落ち着けば,今年度参加を見合わせた研究集会等への参加,成果発表等のための海外渡航や海外研究者招聘を計画している.また,採択された論文のオープンアクセスのための費用,ソフトウェア購入のための費用として使用する計画である.
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Research Products
(5 results)