2017 Fiscal Year Research-status Report
開放系における量子-古典ハイブリッド型アルゴリズムの定式化と探索問題への応用
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16K00025
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
入山 聖史 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 講師 (10385528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 耕治 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 講師 (30453814)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 量子コンピュータ / 光合成課程 / 開放系 / GKSLマスター方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,課題1で求められた増幅過程と開放系における量子計算過程を組み合わせ,誤り確率を減少させる量子アルゴリズムを構成した.これにより,新しい量子アルゴリズムのスキームが構成され,課題2が概ね達成された.具体的には,外界との相互作用パラメータが内部状態のエントロピー変化にどのような影響を与えるかについて数学的な研究を行った.結果として,(1)内部状態に対する量子的な位相ノイズが系の持つ情報伝送効率を向上させること,(2)散逸ノイズより位相ノイズが大きい場合に著しく伝送効率を向上させること,(3)2-qubit系においてGKSLマスター方程式を用いて,量子計算の成功確率を向上させる増幅過程が構成可能であることを具体的なパラメータを導出することで示した.(4)確率増幅を行う量子チャネルを一般化し,Lindbrad super operatorについてのパラメータ条件を厳密に導出した.(5)このパラメータに具体的な数値を与え,計算機シミュレーションを行うことで,実際に成功確率が増幅され得ることを明確に示した.(6)イジング系でのモデルを構成し,基本的な時間発展のシミュレーションを行い,量子相互エントロピーを用いて伝送効率の解析を行った. これらの研究により,本年度の達成目標である,増幅過程と開放系における量子計算過程を組み合わせ,誤り確率を減少させる量子アルゴリズムが構成され,この方法を新しい量子アルゴリズムのスキームの具体的な一例として提示することで,雑音のある系における量子計算機の基礎理論を示すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題1に対しては,さらに厳密な光合成モデルでの解析を行うことが出来た.研究課題2に対しては,具体的な2-qubit系において数理モデルが構成でき,このスキームを一般化することで,雑音のある系での効果的な量子計算を行うことが可能であることが示された.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は最終年度であるため,主に研究の総括と具体例として探索問題に対する効果的な量子アルゴリズムと実現に向けたモデルの構築を行う.また課題2に対してさらに研究を進める.具体的には,(1)多qubit系における雑音のある系での効果的な量子計算モデルを構成する,(2)Fock空間を用いた認識過程におけるメモリ・シグナルの分離写像を量子計算過程を考慮して定式化する,(3)これらの数理を導入した,探索問題についての量子アルゴリズムを構成し,計算量の厳密な導出を行う.
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Causes of Carryover |
国外出張旅費に関して,航空賃で差額が生じた.また,ソフトウェア購入費用が発生しなかったため,差額が生じた.次年度に旅費及び消耗品購入費用として計上する予定である.
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